2018年にIndiegogoに登場して以来、高い人気を誇ってきた代謝測定小型デバイス「Lumen」。センサーで呼気のCO2濃度を測定・呼吸交換比(RER)をトラッキングし、脂肪や炭水化物を燃焼しているかどうかの代謝状態を正確に計測できるという手の平サイズのデバイスだ。専用アプリとあわせて利用することで代謝状態を把握でき、食事や生活習慣の影響を理解しながら理想的な代謝状態を目指すことができる。
「Lumen」の名は光束の単位で、光束とは光源全体の明るさを示すもの。人々の栄養摂取とライフスタイルが代謝にどれだけ影響を与えるのか、このデバイスが光を当て明らかにすることを表現している。2024年2月の最新アップデートにより、メニュー画面がいっそう洗練されたほか、栄養タブをメイン画面に統合。さらに直感的操作が実現し、健康上の目標達成が今まで以上に容易になるとされている。
今回アップデートの中核となるのは、すべての健康データを一元管理できるメニュー画面だ。健康状態をトラッキングするうえでより統合的なアプローチにシフトしたという。炭水化物消費量や歩数、睡眠時間などの健康指標を集約することで自分のデータへのアクセスと理解がさらに容易になり、より良い意思決定につながる。
また、メイン画面に栄養タブがシームレスに統合され、 日々のカロリー摂取計画やツールなどにダイレクトにアクセスできるように。推奨栄養素の確認・摂取がより簡単になった。健康上の目標に合わせて運動をカスタマイズし、進捗のトラッキングもできる。また睡眠分析機能が強化され、睡眠パターンや傾向に関してより詳細なインサイトを獲得できるようになったようだ。
開発はイスラエルスタートアップ、創業者はアスリート兼科学者の双子姉妹Lumenを展開するのはイスラエルのスタートアップMeta Flow社。Lumenを発案し2014年に同社を創設したのは、双子の姉妹であるMichal Mor氏とMerav Mor氏だ。2人はともにトライアスロン選手にして生理学博士号を持つ。個人それぞれにパーソナライズされた栄養摂取を可能とすべく、アスリート兼科学者として模索していた。しかし本来、代謝状態の測定は時間も費用もかかる。そこで双子が手を組んだのが、Daniel Tal氏(CEO、Michalさんの配偶者)、Dror Ceder氏、Avi Smila氏という経験豊富な起業家たちだった。
その後、2年間の研究開発を経て誕生したのが「Lumen」だ。さらに4年の歳月をかけて何百人ものベータユーザーを対象に開発を続け、2018年にIndiegogoでクラウドファンディングプロジェクトを実施すると、1週間で100万ドル(約1億5千万円)を達成。代謝状態を測定する世界最大のプラットフォームにまで成長を果たした。現在はテルアビブのほかニューヨークとロンドンに拠点を持ち、150人以上の従業員を有する。
2022年にはシリーズBラウンドで6200万ドルの資金調達を発表。翌2023年7月には、日本のキリンホールディングス株式会社およびグローバル・ブレイン株式会社もMeta Flowに対して出資を行っている。
今回のアップデートについて、「始まりに過ぎない」としているMeta Flow社。糖尿病患者が増加するなど生活習慣病が世界的に大きな問題となっている昨今、「すべての人がパーソナライズされた栄養摂取を実行でき、最先端テクノロジーを通じて健康状態を改善できる世界を作り出すこと」を使命に掲げる同社の旅はまだまだ続くだろう。
引用元:Lumen
(文:Techable編集部)