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インド個人投資の活況に一役、証券プラットフォームGrowwの急成長を紐解く

Techable 2024年3月29日 12時0分

インドの個人投資が活況を呈している。インド国立証券取引所によれば、個人投資家の数は2021年10月時点で5000万人だったのが、2023年9月には8000万人を超えた。2年弱で3000万人(60%)の伸びを示している。さかのぼると、3000万人から5000万人に到達するのにも22か月かかったという(参考)。こちらも2年弱で66%増。コンスタントかつ急激に増えていることがわかる。

こうした個人投資家の急増に一役買っているのが、2016年創業の証券会社であるGrowwだろう。創業前の時点で、インドには投資余力のある個人が2億人近くいたものの、実際に投資しているのは2000万人ほどに過ぎなかった。

Groww創業者によると、「インドの金融商品は投資プロセスが複雑で不透明」だったためだ。その障壁を取り払い、今やGrowwだけで1500万人のユーザーを抱えるまでになった。

膨大な情報量と利便性で投資をシンプルに

Growwの共同設立者でCEOのLalit Keshre氏は、インドEC大手企業のFlipkartでプロダクトマネジメントを担当していた人物だ。それ以前に教育分野での起業経験もある。会社勤めをしながらも、起業家精神は持ち続けていたのだろう。

Lalit氏を含む共同設立者たちは、インドの金融商品が「複雑で不透明」という問題を解決すべく、投資をシンプルにすることを目指した。まず行ったのは、市場調査と問題点のリサーチだ。顧客の資金を守るため、安全性の確保にも細心の注意を払った。

2017年に投資信託を扱う証券会社としてスタートすると、1年を待たずにインドで最も人気のあるプラットフォームの1つに成長。その後、取扱商品を株式やETFへ拡大している。

Groww公式サイトの商品ページを見ても、急成長の理由がわかる。株価のチャートや企業の財務状況はもちろん、投資アナリストの分析に基づいた「売り」か「買い」かのアドバイスまで見られるのだ。注文などの操作もわかりやすい。

公式YouTube動画では、「専門用語を知らなくても注文できる」ことを1つの売りにしている。

また、手数料の計算や投資信託のシミュレーションなどのツールも充実している。

「複雑で不透明」という課題を、膨大な情報量と利便性で見事に解決しているわけだ。

他社との比較で際立つGrowwの人気

Growwの人気はインドの他の証券会社と比較することで、さらに際立つ。

ユーザー数を比較すると、次の表のとおりになった。

表を見ても分かるとおり、最も若い会社であるGrowwのユーザー数が2番目に多い。トップのAngel Oneは1996年創業の老舗だ。Growwが急速に支持を得ているのが読み取れる。

ただ、このユーザー数は各社の公式サイトに掲載されていたもので、いつのデータかは統一されていない。そこで、SNSの公式アカウントにも目を向けてみた。

インドでユーザー数の多いSNSはYouTubeやFacebookだ。

YouTubeのチャンネル登録者数を他社と比較すると、以下の通りとなった。

GrowwはYouTubeのチャンネル登録者数でも2位だが、それでも200万人を超えて1位に迫る勢いだ。1位のAngel OneはGrowwよりも20年以上も早く創業しており、知名度の差を考えると高い数字と言える。

なお、Facebookのフォロワー数も、次の表のとおり2位だった。

SNSにかけるリソースの大きさには、各社で違いがあると思われるが、それを差し引いても後発のGrowwが幅広い支持を集めていることは確実だろう。

投資家からの熱視線

ユーザーから幅広く支持されているGrowwは、投資家からも熱い視線を集めている。直近では、2021年にシリーズEラウンドでICONIQ Growthなどから2億5100万ドルを調達。投資家リストには、Ribbit CapitalやSequoia Capitalのほか、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella氏も名を連ねている。

8000万人を超えたインドの個人投資家の数は、今後も増えていくのだろうか。世界銀行によると、同国のGDPは2023年から2025年にかけて6%台で堅調に推移する見込みだ(参考)。

また、2021年のインターネット利用率は46%だったため、ネットで投資ができる人口はまだ増える余地がある。その上、14億人もの人口を抱えていることを考えると、まだまだ可能性を秘めていると言っていいだろう。Growwもその波に乗って、さらに成長することを期待したい。

参考・引用元:Groww

(文・サト)

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