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若者が賢く生きるために。米国発、財務・健康・キャリアの学習プラットフォーム「Realworld」

Techable 2024年5月9日 16時0分

金融リテラシーは、賢く生きていくために不可欠だ。2016年の研究によれば、金融リテラシーの高い若者は、クレジットカードの延滞損害金を支払う可能性が低く、またキャッシングもしない傾向があった。支払いは期日までに済ませ、高金利には手を出さないわけだ。

こうした“金融リテラシーの高い若者”とは、具体的にどんな人々なのだろうか。

ケンブリッジ大学が2023年に発表した金融リテラシーに関する調査では、厳選された3つの問題(金利・インフレ・リスク分散に関するもの)を出したところ、大学卒業者は高校卒業者よりも正答率が高かったという。ここで「学歴と金融リテラシーは比例する」という印象を抱く人もいるかもしれない。

ところが、同調査によると大学院卒業者のグループではインフレについては3割、リスク分散については4割が不正解だった。この結果から「教育レベルの高さと金融リテラシーの高さは必ずしも比例するとは限らない」こと、そして金融に関する情報の必要性がうかがえる。

若者が金融リテラシーをきちんと身につけ、賢い選択ができるようになってほしい──Realworldの創業者は、そんな思いで会社を立ち上げた。同社はお金だけでなく、健康やキャリアの知識まで、インタラクティブな教材で学べるプラットフォームを提供する米国企業だ。

金融リテラシー不足だった自身の経験から創業

RealworldのCEOであり創業者でもあるGenevieve Bellaire氏はMBAホルダーで、ロースクールも卒業している。これだけの学歴を保持する彼女だが、金融リテラシーが完璧だったわけではないという。

社会に出てからというもの、Bellaire氏は確定拠出年金への加入方法や健康保険の選び方、税務申告など、分からないことだらけであることに気づいたのだ。学校でこのようなことを学ぶ機会がないことを嘆きつつも、Googleを駆使して「クレジット」や「保険料」などについて自力で学ぶしかなかった。

そして、友人たちも似たような状況にあることに気づく。学校で学べないのは誰もが同じで、社会人になってから見よう見まねで何とか切り抜けている状況だった。両親に頼るという方法もあるが、親になったからといって、全員が金融リテラシーを身につけているわけではないだろう。

さらに何千人もの人々にインタビューを実施し、この問題はBellaire氏とその友人だけの問題でないことを確信。この確信が、金融リテラシーなど、実社会をうまく生き抜くための知識を学べるRealworldの誕生につながったのだ。

財務・健康・キャリアをインタラクティブな教材で学ぶ

Realworldの創業は2018年。2019年にBellaire氏がFox Newsに出演しているほか、2021年にはForbesやWall Street Journalにも取り上げられるなど、創業してから多くのメディアから注目を集めている。2022年には320万ドルの資金調達に成功し、今やユーザーは12万人を超えている。

現在Realworldは、WebとiOSのアプリでサービスを展開している。アプリは日本のApp Storeではダウンロードできないため、Web版を開いてみると、すごろくのようなメニューが表示された。

1つ目のマスをタップすると、「個人の純資産」についての教材が出てくる。

貯蓄額や自動車の評価額、クレジットカードの支払予定額などを入力すると、評価してくれる。基礎的な知識だけでなく、自分のリアルな生活に直結する学びを得られそうだ。

5分ほどで1つ目の教材を終えると、2つ目のマスにアクセスできるようになっていた。1つずつタスクをこなしていく、ゲームのような感覚だ。

Realworldでは、ほかにも次のようなことが学べる。

【お金に関する情報】
・貯蓄
・投資
・税金
・老後資金
・クレジットカード
【健康に関する情報】
・ストレス
・栄養
・睡眠
・運動
・マインドフルネス
【キャリアに関する情報】
・目標設定
・人脈づくり
・給与交渉
・福利厚生
・副業
【その他】
・料理
・住居探し
・引っ越し
・自動車の購入・メンテナンス
・コミュニティ活動

ここに挙げたのは一例だが、社会人生活に密着したテーマがずらりと並んでいる。

無料でも使えるが、すべての機能を使うには課金が必要だ。月額は9.99ドルで、アメリカだとApple Music(月額10.99ドル)より少し安い価格帯。1年間、有料プランを使えるギフトカードは気の利いたプレゼントとしても使えそうだ。

なお、無料版と有料版の具体的な違いは公式サイトには掲載されていない。

ちなみにRealworldには組織用のプランもあり、たとえば100人までなら月額200ドルで利用できる。アメリカでも深刻な人手不足が問題になる中、Realworldを社内教育に活用すれば、従業員の満足度が上がり、優秀な人材をつなぎとめる助けになるかもしれない。

ネット検索の限界と、体系的な情報サービスの需要

Realworldの創業者であるGenevieve Bellaire氏と同じように、筆者も保険や投資など、必要と思われる知識は書籍やインターネットから得てきた。ただ、やはり「つぎはぎ」であることは否めない。また、重要な分野がすっぽりと抜け落ちている可能性もある。

お金の知識だけでなく、体系的に有益な情報が得られる場があれば、活用したいという人は少なくないだろう。日本でもRealworldのようなサービスが現れることを期待したい。

参考・引用元:Realworld

(文・里しんご)

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