日本のファミレスなどですっかりおなじみとなった配膳ロボット。KEENON RoboticsやPudu Roboticsなどの中国企業が日本市場でのシェア競争を繰り広げているが、今後はその競争が業務用清掃ロボット分野へも広がりそうだ。
配膳ロボット大手のKEENONから清掃ロボットが登場KEENONとしては初となる業務用清掃ロボット「C30」を4月に中国・5月にシカゴでそれぞれ披露、6月から提携企業が日本での販売を開始したのだ。
新製品C30は、掃き掃除・吸塵・モップ掛けの3種類の作業を行える「1台3役」のロボット。アプリを使用してロボットを遠隔操作・モニタリングできるほか、手動に切り替えて人間が操作することも可能だ。1回の充電で最大1500平方メートルを清掃できるセルフチャージ機能を備えている。IDC(International Data Corporation)の最新調査によると、2022年の全体的な業務用ロボット中国市場規模は1億7000万ドル。KEENONとGausiumだけで業界全体5割のシェアを占めている。KEENONは2022年にケータリングロボット分野で60%を占めトップに返り咲いた。
しかし、中国市場清掃ロボットのトップはGausiumを運営する高仙自動化科技発展(Gaoxian Automation Technology Development)。後発となるKEENONが中国・日本を含め各国市場でどこまでシェアを伸ばせるか注目だ。
業務用清掃ロボット分野、KEENONは後発Zion Market Researchの調査によると、2022年に171億7000万米ドルとされた業務用ロボットの世界市場規模は今後CAGR11.52%で成長し、2030年末までに405億9,000万米ドルに達する見込み。人的ミスの削減、効率性および安全性の向上などの効果が得られることから需要が伸びている。
日本市場では、アイリスオーヤマやパナソニックなどの日本企業が法人向けサービスを展開している。2023年7月には、配膳ロボ「BellaBot」で有名な中国企業Pudu Roboticsが清掃ロボット「CC1」の販売を日本で開始し、新たに日本市場の清掃分野へ参入したところ。
Puduの清掃ロボは「スイープ・床洗浄・吸引・、乾拭き」の4つの作業を1台に集約した製品だという。
日本の2024年度業務用掃除ロボット市場は約150億円(日本能研究による調査)。労働力不足を背景に、清掃作業の省力化のために業務用掃除ロボットの導入ケースが増加しているという。不動産業者やホテル業者、ビルメンテナンス業者、清掃業者などの事業者による導入が先行しているが、低価格化が進むことで、今後は中堅・中小企業での導入も見込まれる。
KEENON Roboticsの歩み中国上海に本社を置くKEENONは2010年の設立。日本以外にもフランスやドイツ、韓国、アラブ首長国連邦、カナダ、アメリカを含め60以上の国と地域で事業を展開している。過去2年間は米国市場での足場を固め、ケータリング、ホテル、高齢者向け施設、映画館、カジノ、スーパーといった分野で信頼を確立。米国内の50以上の都市で多くの企業にサービスを提供してきた。
配膳・配送ロボットの「DINERBOT T8」で2023年に日本のグッドデザイン賞を受賞したほか、今年2月には「DINERBOT T9 Pro」が「シカゴ・グッドデザイン賞2023」も受賞している。
6月末には大連で開催された世界経済フォーラムの夏季ダボス会議に参加。同社設立者兼CEOのTony Li 氏が講演を行い、インテリジェントな自律システムの意思決定能力とAIの進歩による人間生活への統合を強調。引き続きロボット分野での技術推進と新たな領域の探求に取り組むとした。
引用元:
KEENON Robotics
Pudu Robotics
(文・根岸志乃)