Fullpower-AI(本社カリフォルニア州サンタクルーズ)は5月29日、睡眠技術とウェルネスソリューションの先導者として、“世界最大規模”ともされる睡眠データセットを備えたプラットフォーム「Sleeptracker-AI」の立ち上げを発表した。
同プラットフォームは、バイタルサインの継続的なリアルタイムモニタリングを行うもの。長時間にわたる睡眠ダイナミクスが把握できるほか、さまざまな健康状態および医療処置に関連するパターンや変化の特定に貢献する。
同社CEOのPhilippe Kahn氏は、「当社は、革新的な技術と包括的データによって睡眠科学を推進しております。業界最大のデータセットを備えた新しいプラットフォームは、世界中で健康状態を改善するという当社ミッションにおいて重要な節目となりました」とコメントしている。
Fullpower-AIは、ディープラーニング生成AIを活用したバイオセンシングプラットフォームを展開。135以上の特許ポートフォリオを保有、ISO 27001認証を取得している。クライアントの分野は睡眠、ライフサイエンス、健康、ウェルネス、バイオテクノロジーなど多岐にわたる。
自然な状況で取得した睡眠データはスタンフォード大と精度検証Fullpower-AIが5年をかけて収集した睡眠データ量は、現時点で2億5000万日分(睡眠の回数)という業界最大規模のもの。研究下ではなく、一般的な家庭環境における個人の自然な睡眠パターンと行動を収集してきた。状況や条件などがコントロールされた臨床試験と比較して、一般化可能性の高いデータの発見につながるという。
この膨大な睡眠データにより、睡眠パターンや睡眠障害、睡眠が健康に与える影響について、小規模なデータセットや臨床研究では得られない貴重な知見をもたらす。臨床診療や治療戦略、および公衆衛生の取り組みに情報を提供し、ひいては治療成績および健康管理に寄与すると期待されている。
システムの精度はスタンフォードの睡眠医学部との協力によって検証済みだ。収集データの信頼性は、標準基準とされるポリソムノグラフィ測定と同程度あると確認されている。これにより、データに基づいた研究結果の信頼性も担保される。
データの記録は非接触で行うため、侵襲性が低いことがメリット。初期設定を済ませるだけで被験者に負担をかけずに長期的なデータ収集が可能だ。
スケーラビリティとリモートアクセスで利便性も確保同プラットフォームとそのリアルタイムAPIは、既存の医療システムに統合されて睡眠データと電子健康記録、臨床評価などの重要データと関連付けられる。この統合により、包括的な分析が可能になり、睡眠と健康状態、および治療結果の関係を検討できる。
また、大規模な研究プロジェクトに合わせたスケーラビリティも備えているほか、研究者が世界のどこにいてもデータへの安全なリモートアクセスが可能など、利便性の高さも魅力といえそうだ。
Sleeptracker-AIプラットフォームと大規模データセットにより、Fullpower-AIは臨床試験のためのデジタルツインとしての合成データも生成可能。臨床試験の質が向上するだけでなく、スピードアップおよびコスト削減なども期待できるという。いずれは、開発とモニタリングに焦点を当てた医療システムを支える重要な存在となるだろう。
参照・引用元:Fullpower-AIリリース
(文・せな)