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2本の腕でカクテルつくるバーテンダーAIロボット「ADAM」|球場で腕披露、客と会話も

Techable 2024年8月10日 19時0分

飲食店で、人間のウェイターやウェイトレスに代わって配膳ロボットが料理を厨房から客席まで運ぶ図はもうお馴染みだろう。業界の人手不足を補う重要な存在になりつつある。

同様の考え方で、配膳ロボットだけでなく、飲み物づくりに対応するロボットも開発・展開しているのが米企業のRichtech Robotics(以下、Richtech)だ。アルコールやコーヒー、バブルティーなどに対応するヒト型ロボットで、先月米テキサス州で開催された大リーグ(MLB)オールスターゲームの会場となった球場にも登場し、「腕」を披露した。

客が注文した飲み物を提供、カウンターで接客も?

ネバダ州ラスベガスに本社を置くRichtechは、2016年に創業、2023年11月に米ナスダックに上場した企業だ。

同ロボット「ADAM」はヒトを模したデザインで、動き回る配膳ロボットとは異なり据え置き型。客と向かい合うカウンターなどに設置すれば、客が注文した飲み物をその場で作ることができる。

ADAMには3つのプログラムが用意されており、カクテルやノンアルのカクテルを作るバーテンダー、コーヒーなどをいれるバリスタとして機能。そしてもう1つのプログラムではバブルティーに対応する。

各プログラムは商品ごとに使う材料や量、まぜる順番などをカスタマイズできるようになっており、例えばバリスタとしてホットコーヒーやアイスコーヒーといった基本のものから、ラテのような調合を要するスペシャリティまで幅広いメニューに対応する。

客と会話可能、おすすめ商品の案内も

ADAMはセンサーなどを搭載し、2本の腕の先にカップをはさめるようになっている。腕には人間の手首や肘にあたる可動部分がいくつかあり、器用に動かしながら周囲に配置された材料の入ったボトルなどを持ち上げてカップに注ぎ、飲み物を作っていく。カクテルの場合、グラスに注ぐ前に材料の入ったタンブラーを揺らして混ぜるという動作もこなす。

また、ソフトウェアには人工知能(AI)が組み込まれており、近づいてきた客を認識して「やりとり」もできる。例えば、客におすすめの飲み物を案内することができるという。

繁忙時の助っ人に

ADAMは飲食店などでの設置を想定しており、最近では7月に開催されたMLBオールスターゲームの会場となった球場「グローブ・ライフ・フィールド」のバーにお目見えした。

オールスターゲーム前に設置されたADAMは、最初の1週間でカクテルのレモン・ドロップやウィスキーサワーなど約500杯を手がけたという。

球場は通常、数万人を収容し、多くの客が飲み物を片手に観戦する。特に、試合開始前やイニング間などは飲食物を求める客が店に集中し、列ができることもしばしば。そうした時にオーダーを素早くさばくのにADAMは活躍しそうだ。

A robot bartender is going to be serving drinks during All-Star Week in Texas 👀🤖

(via @stensinthecity) pic.twitter.com/IGp4DM6ZAl

— MLB (@MLB) July 10, 2024

イベント向けにレンタルも

球場以外にも、ADAMはラスベガスのバブルティー店、ニューヨークやオークランドのコーヒーショップなどにすでに導入されている。興味深いことに、フードトラックでも利用されており、飲み物需要が高いフェスティバルなどで重宝されること間違いなしだろう。

また、Richtechはイベント向けにADAMの貸し出しにも対応している。先ごろカリフォルニア州で開催された半導体メーカー、エヌビディアの年次カンファレンス「GTC」の会場にもADAMは登場し、来場者のために飲み物を作った。Richtechが公開した映像では、物珍しさから多くの人がADAMの動きをスマホで撮影する様子が見られる。

アームや掃除ロボも展開

ロボットを用いたソリューションでサービス業の顧客体験を高めることを使命としているRichtechは、ADAMの他にもロボットアーム、料理や医薬品、パーツを運ぶ運搬ロボット、店舗の床にブラシをかける掃除ロボットなどを展開している。いずれも、人口減少や労働力不足が懸念されている先進国を中心に需要が見込まれる分野だ。

参考・引用元
Richtech Robotics
GlobeNewswire

(文・Mizoguchi)

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