電動垂直離着陸機(eVTOL)の設計・製造を行う韓国企業のV-Spaceは、今年7月に同社のUAM航空機を江原道(カンウォンド)太白(テベク)の韓国航空高等学校に納入すると発表した。
国内唯一の教育用UAM航空機として使用される予定で、韓国の将来の航空人材育成に貢献するとの期待が高まっている。
昨年に2人乗りのUAM航空機「V-Speeder X」を発表2010年にVM Koreaという名で発足したV-Spaceは、バッテリーシステムとインテリジェント飛行制御で開発されたeVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing)ガスにより、韓国で初めてUAM(Urban Air Mobility:都心航空モビリティ)空中道路を開通したとされる企業。
10年以上のバッテリーシステム製造のノウハウで高出力、高安全性、最小コストのバッテリーを応用した「エアモビリティ」「eモビリティ」「モビリティ電源システム」を製造している。
昨年12月、V-Spaceは2人乗りの自律型UAM航空機「V-Speeder X」を発表した。V-Speeder Xは効率的で手頃な価格のeVTOL。交換可能な専用バッテリーを搭載しており、25~30分程度の飛行が可能だ。
独自のバッテリー設計で現在の業界標準を上回る約507ポンド(230キロ)の積載量を実現し、短時間で効率的な飛行で乗客を目的地まで運ぶという。この高度な自律飛行技術により、パイロットは不要になる。
「世界初のUAM実証・専門都市」の開発へ今回V-Spaceが発表したUAM航空機は、韓国航空高等学校(旧太白機械工業高等学校)を卒業し仁荷(インハ)大学のメカトロニクス工学を専攻した主任研究者のYoo Soo-ho氏が先頭に立って開発を進めたものだ。先輩が後輩に模範となる先例を作ったという点で、有意義な取り組みと言える。
V-Spaceは韓国航空高校へのUAM初号機の納入を出発点として、UAMを商業、物流、工業、住宅、レジャー分野などさまざまな産業に統合することを目指した、より広範なイニシアチブを計画中だ。
これには、寧越(ヨンウォル)郡や太白市などの地元自治体と協力して、東江(トンガン)地域を中心とした「世界初のUAM実証・専門都市」を作ることも含まれる。また、東港ツアーコースのようなUAM商業実証ルートの確立も目指している。
世界規模での商用化を計画中今後V-Spaceは今回の納入に続き、水素/電気式UAMのさらなる開発と量産、江原道のインフラを活用した飛行施設と保守・修理・オーバーホール(MRO)施設の設置、そして世界規模での商用化を計画している。
寧越のUAMインフラとエアタクシー実証基地、太白山と東港のユニークな資源を活用して、商用に向けた初段階の無人・有人UAM実証実験を行うため、現在は地方自治体との詳細な協力を進行中だ。
参考・引用元:
V-Space
PR Newswire
(文・Haruka Isobe)