「SNS疲れ」に加え、「マッチングアプリ疲れ」というフレーズが定着してからはや数年。2022年12月の業界アンケート記事では、約9割のユーザーが「マッチングアプリ疲れ」を感じるという結果が出ている。
疲れの理由第1位は「メッセージが面倒」、第2位は「実際に会った際のギャップ」だ。やり取りを続けた相手と結局会えなかったり、せっかく会えてもギャップを感じたりなど、メッセージに費やす時間が無駄になっていることが分かる。
ロンドン発の「Thursday」は木曜限定のマッチングアプリメッセージが面倒なうえに結局会えない従来型マッチングアプリと一線を画すのが、ロンドン発の「Thursday」だ。このアプリの最大の特徴は、名称のとおり「木曜日しか使えない」こと。
週に1日だけの出会いにバリューを生み出して人気を博しているThursdayは、会う前にやり取りを重ねる無駄と手間を省き、木曜当日のチャットでその後確実に会えるとしている。
無駄なスワイプやメッセージのやり取りにうんざりした「マッチングアプリ疲れ」層に刺さったようで、Thursdayの対応都市は増加の一途をたどっている。8月8日のニュースリリースでは、スウェーデンのストックホルムで8月29日から利用可能になると発表。すでに同都市のシングル数千人が事前登録済みで、月末の初イベントを心待ちにしているという。
7月18日にはサンフランシスコ進出を果たしたばかり。2021年のサービス開始時にはロケーションがロンドンとニューヨークの2ヵ所だったが、7月末の公式発表によると世界26都市で展開中とのこと。今年中に100都市、2025年までに250都市展開を目指すという。
なぜ木曜? 「IRL」=現実世界での出会いを重視Thursdayを運営する企業の正式名称はHoneypot Dating Ltd。同社はGeorge Rawlings氏とMatt McNeill Love氏の2人によって2018年に設立された。2018年11月にプレシードラウンドの資金調達を完了。
2019年にロンドンで初めてリリースしたマッチングアプリは「Honeypot」という名称だった。その後、アプリを「Thursday」にリブランド。2021年6月にはアプリリリースから1ヵ月足らずで250万ポンド(およそ5億1000万円)のシードラウンドを完了した。
なぜ「木曜日」なのか、BBCの取材記事でGeorge Rawlings氏の回答が確認できる。Thursdayの前身アプリであるHoneypotのユーザーアクティビティが、木曜に急増していたというのだ。同氏のLinkedInプロフィールでは、「サーバー費用が高すぎるので、木曜だけ稼働するアプリを作った」という本気なのか冗談なのか分からない記述も見られる。
Thursdayは、公式サイトFAQの「Thursdayの存在理由」の項目で、「私たちのミッションは、無限スワイプ作業の必要性を減らして、気の合うシングル同士を実際に引き合わせること」と回答。オンライン空間ではなく、「IRL (In Real Life)」=現実世界での出会いにこそ意味があるとしている。
Thursdayはマッチングアプリとは別途「Thursday Events」というイベントアプリも展開している。こちらも木曜限定でイベントに参加したり、ユーザー自らが主催したりできるというもの。「参加者は全員シングル」という文言を見る限り、イベント主旨はあくまで「出会い」のようだ。
参考・引用元:Thursday
(文・Techable編集部)