顔や指紋、声などで本人確認を行う“生体認証技術”が大きな発展を遂げている。今年9月には、NECが公共施設の入場における混雑緩和を目的に、生体認証技術を用いて一度に多人数を認証するシステムの販売を開始した。
こうした生体認証システムの世界市場規模は2024年には472億米ドル、2029年には845億米ドルに達すると予測されており、多くの企業が同市場に参入している。
そんななか、スウェーデンにルーツを持つ生体認証企業Fingerprint Cards AB(以下、Fingerprints)は、論理的・物理的なアクセス制御のための新しい生体認証システム「FPC AllKey」を発表した。デバイスメーカーがPINやパスワードを廃止し、現代の消費者が重視している「革新的で、堅牢かつ便利な認証」に置き換えるサポートを行う姿勢だ。
デバイスへシームレスに統合できる生体認証システムFPC AllKeyは、デバイスへの迅速かつシームレスな統合を可能にする生体認証システム。周辺機器、暗号通貨ウォレット、住宅や職場のスマートドアロック、FIDO認証トークン、南京錠などのユースケースにスムーズで安全な認証をもたらすように設計されている。
FPC AllKeyには生体認証センサー、生体認証プロセッサ、オンボードテンプレートストレージ、生体認証マッチングソフトウェアなど必要なものがすべて含まれており、メーカーは最小限の労力や既存の経験だけですぐに統合することが可能だ。
ホスト・システムの性能に影響を与えることなく、どのようなデバイスやアプリケーションと組み合わせても、それぞれのセキュリティと認証を新たに強化できる。また超低消費電力機能や独自の機能も、スムーズでシームレスな統合とエンドユーザー体験の確保に貢献する。
FPC AllKeyで“付加価値”を高めるFingerprintsのCEOであるAdam Philpott氏は、デバイスメーカーはそれぞれの分野やセクターの専門家ではあるが、付加価値を高めて差別化するためには常に革新する必要があると指摘。
そこでカギとなるのが機能性、ユーザー体験、セキュリティを向上させる「生体認証技術」だといい、デバイスメーカーが生体認証の専門家にならずとも、FPC AllKeyならデバイスにふさわしい性能、スタイル、品質で、メーカーがシンプルかつ迅速に、製品に新たな価値を付加することを可能にするとしている。
指紋センサーや虹彩認識ソフトウェアを展開スウェーデンのヨーテボリに本社を構えるFingerprintsは、1997年に設立された生体認証システムの開発・販売会社。中国の上海に拠点を置くFingerprint Technology Companyと、スイスのツークに拠点を置くFingerprint Cards Switzerland AGという2つの完全所有子会社で構成されている。
2000年からNasdaq Stockholm(FING B)に上場しており、現在は指紋タッチセンサーや虹彩認識ソフトウェアプラットフォームなどを展開中だ。こうした同社の技術はモバイルやエンタープライズセキュリティ、支払いやスマートホームまで、さまざまなユースケースで活用されている。
参考・引用元:
Fingerprints
GlobeNewswire
(文・Haruka Isobe)