去年、高校を卒業したばかりのバスの運転士が6月、デビューしました。運転士不足が課題となっているバス業界。若い人材に期待がかかる中、新人ドライバーのデビューまでに密着しました。
JR新潟駅前に到着した1台のバス。
次々と利用客が乗り込みます。
〈伊藤さん〉
「手すり・吊り革にしっかりとおつかまりください。発車いたします」
伊藤千紘さん・19歳。この日が初めての客を乗せた運行です。
〈伊藤千紘さん〉
「やっと自分の夢の入り口に立てたので」
運転士不足が課題となっているバス業界。
新潟交通でも路線バスを減便するなど対応を強いられています。
〈新潟交通 乗合バス部 運転保安課 阿部聡史課長〉
「労働力不足・運転士不足が顕著になっている」
そうした中、国はおととし道路交通法を改正。
バスの運転が可能な大型二種免許の取得年齢が19歳に引き下げられました。
そこで、新潟交通は最短で運転士を育成する取り組みを始めました。
〈新潟交通 乗合バス部 運転保安課 阿部聡史課長〉
「早く一人前になることによって、運転士も高齢化が進んでいるのでフォローに早く入れる」
デビューまで1か月。
伊藤さんの実習は大詰めを迎えていました。
〈運転士 伊藤千紘さん〉
「発車いたします。手すり、吊り革におつかまりください」
〈教官〉
「バス停につけてね、しっかり確認して出るというところを目標にしてやってください」
運転席の真後ろで目を光らせる教官。本番を想定し、実際に走るルートを通ります。
〈教官〉
「確認のほうもきのうから良くなっている。目の動きも良かった。ただ、1か所だけ確認不足があった。ドア操作に関しては最後まで手を離さない、右上の手を離さないようにしっかりやっていってください」
〈伊藤さん〉
「はい」
いよいよデビュー当日。
〈職員〉
「きょうも1日安全運転でお願いします」
〈伊藤さん〉
「行ってきます」
〈職員〉
「行ってらっしゃい」
〈バス運転士 伊藤千紘さん〉
「1人で全部やらないとだめ。お客さんに迷惑はかけられないところがプレッシャー、確実にやっていきたい」
担当するのはプロ野球の試合のための臨時便。
新潟駅から球場までのべ280人の乗客を運びました。
〈バス運転士 伊藤千紘さん〉
「これだけのお客さんを乗せたんだぞという自分への自信にもつながる。高校卒業してすぐにこういう道を選べるようになったので、自分の後輩というか運転士を目指している人がいれば自分と同じように運転士を目指してもらえたら」
運転士不足が課題のバス業界。
新たな1歩を踏み出した新人ドライバーに期待がかかります。
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