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【特集】「大好きな商店街を復活させたい……」13棟が燃えた魚沼市商店街火災から1年 店や住まいを失った人々のいま ≪新潟≫

TeNYテレビ新潟 2024年10月13日 17時0分

魚沼市の商店街で13棟に被害が出た火災から1年。

店や住まいを失っても「大好きな商店街を復活させたい……」まちの未来のために奮闘する地域の人たちを追いました。

祖父の代から続く餅店を営む

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夜明け前の午前4時……1階の窓から灯りが……。

鉄板の上には……ホクホクのどら焼きの生地。ほんのり甘い香りが広がります。

若井文康さんは魚沼市小出島で祖父の代から続く餅店を営んでいます。

〈若井餅菓子店 若井文康さん〉

「色が良くなってきた。みんなここら辺の人は朝が早いので7時ごろ取りに来ますのでね」

以前と同じように作る「おはぎ」

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地域のお祭りが開催されるこの日、多くの注文が入りました。

豆の香りが心地いい自慢の「赤飯」に手際よくあんこで包んでいく人気の「おはぎ」。

商店街の火災から1年、以前と同じように作業できるまでになりました。

〈若井餅菓子店 若井文康さん〉

「一番はじめ自分の家が燃えるなんて思っていないので。全部火が上がったときはそれこそ終わりだと思いましたけど、こうやって仕事ができているので」

「若井餅屋が燃えている」

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2023年9月、魚沼市の商店街で発生した火災。

暗闇の中で燃え広がる炎……。

〈若井餅菓子店 若井文康さん (火災当時)〉

「まじか消えねぇぞ、おらんちまで来るな」

「消えてくれよ」

「若井餅屋が燃えてるよ…終わりだ」

店舗や住宅など被害は13棟に及びました。

火災が奪った商店街

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魚沼市にある「南本町商店街」。

川幅を広げる工事に伴い45年ほど前に誕生しました。

長年、愛されてきた憩いの場所は火災によって一瞬にして奪われました。

〈商店街で暮らす男性〉

「45年が3時間で終わってしまうんだからね」

〈商店街で暮らす女性〉

「ここもう辞める人がいるよ。若い子がだんだん少なくなっているからそれが大変だけど、でも頑張らなきゃと思ってね」

火事の翌日

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火事の翌日商店街の一角で餅店を営む若井さん…… 祖父が始めた店の3代目です。

火事の翌日寝室があった3階へ行ってみると……。

〈若井餅菓子店 若井文康さん (火災当時)〉

「おー全部ないね、全部壊れたね」

「全部燃えているのを見るとやっぱりショックだな。子どもたちもここで育ちましたので、切ないな」

テレビは枠だけが残り……棚にあった本も表紙など外側はすべて焼けていました。

被害は隣店にも

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火事の被害は、隣の生花店にも……。住まいがある2階と3階は全焼。

さらに花を飾るスタンドに、時計、ワゴン車まで炎に飲み込まれました。

被害にあった生花店「清花園」を営む杵渕豊さんは……。

〈「清花園」 杵渕豊さん〉

「直すのにいくらかかってしまうんろうとか、まだ3階リフォームしたばかりでローンが残っている状況で、そこにさらにお金を借りなければいけないかとか、そういう心配がある」

「仕事が受けられるか心配」

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焼け残った店舗で火事から2週間後には営業を再開しましたが、妻と子どもたち、両親の家族7人で近くのアパートに身を寄せていました。

〈清花園 杵渕豊さん〉

「いまはまだお見舞いできてくれているお客さんがいるんですけど、来月以降まだ仕事が続いていくのかとか大きい仕事が受けられるのかというのも心配な部分で」

復興へのサポート

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自然災害ではないため公的な補償を受けにくい火災。

全国から多くの支援が寄せられたほか、魚沼市や商工会では焼けた家具の撤去や建物の解体、再建などきめ細かいサポートを続けてきました。

火事から1か月

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火事から1か月後……餅店の若井さんの作業場では久しぶりに湯気が立ちのぼりました。

電気とガスが復旧し赤飯に、おこわがいつもの味に仕上がりました。

得意先に営業再開のあいさつ回りへ……。

〈若井餅菓子店 若井文康さん (火災から1か月)〉

「赤飯と、伸し餅以外、天餅、角餅、あんこ餅はできる」

〈お客さん〉

「助かった……あてにしてた」

「本当に困っているんですよ、若井さんの餅がいいってみんながいう」

〈若井餅菓子店 若井文康さん (火災から1か月)〉

「じゃあ作れるようになったそうですと触れていただいて」

「やっぱりうれしいです。おいしいですと言っていただけるのが1番ありがたいです」

商店街を離れる人も

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商店街の中には再建を目指す人がいる一方、この地を離れる人も……。

建物を解体した土地は草が生い茂り先行きを見通せない不安もあります。

〈清花園 杵渕豊さん〉

「この街を去ってしまう家庭の方もいてさみしいですけど、新しい仲間が増えるといいなと思いながら日々生活しています」

火災から1年 6年ぶり地域のまつり

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そこで商店街では参加者の減少から休止していた地域の祭りを6年ぶりに復活……。

温かい支援への感謝と地域の“リスタート”をアピールしました。

多くの客でにぎわう

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朝からどら焼きや赤飯を作っていた若井さん。

店は多くの客で賑わいました。

Q売れ行きはどうですか?

〈若井餅菓子店 若井文康さん〉

「いっぱい売れていてよかった。赤飯を出していたらみんなして『なくなったか?』というのでいま作っています。もしかしてずっと雨なら人が来ないかなと思っていましたけど、晴れたら人が来ますね。ありがたいことです」

近所の人は……。

〈近所の住民〉

「天気が悪いのにそれでもけっこう人が集まってよかったと思います」

訪れた人は……。

〈訪れたお客さん〉

「パフェとか食べに来たこともあったので、復興してもらってまたパフェ食べたいです」

リスタートの“餅まき”

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そして10月のリニューアルオープンを予定している生花店の杵渕さん……開店を祝う地域の伝統「餅まき」を行いました。

〈清花園 杵渕豊さん〉

「商店街がダメージを受けているんですけど、それでもお祭りをすることでみんなに喜んでもらえてよかったです。新しい店に商店街に来てもらって、より一層盛り上がることが商店街のできることだと思っていますので頑張っていきたい」

多くのものを奪った火事……それでも励ましの言葉やサポートに人の温かさが染みた1年でした。

商店街の再建へ……これからも一丸となって歩みを続けます。

(2024年9月26日放送「夕方ワイド新潟一番」より)

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