新潟水俣病の被害を訴える人たちが国と原因企業に損害賠償を求めた裁判の控訴審が12月3日から東京高裁で始まりました。原告団が高齢化する中、原告のひとりは「生きている間の解決という願いを聞いてほしい」と訴えました。
新潟水俣病をめぐるこの訴訟は提訴からことしで11年となり、原告団の平均年齢は75歳を超えます。
〈原告団長 皆川栄一さん〉
「(水俣病の確認から)約70年という長い年月が経ちました。しかしながらまだまだ解決には至っておりません」
この裁判は新潟水俣病の被害を訴えながら救済を受けられなかった人が国と原因企業に損害賠償を求めたものです。
ことし4月、新潟地裁は原告の一部26人を水俣病と認め、原因企業に対し、1人当たり400万円の支払いを命じました。一方で国の責任は認めませんでした。
原告と被告(原因企業のみ)双方の控訴を受け、12月3日、東京高裁で第一回弁論が開かれました。
原告のひとり、福地幸二さんが、「11年の裁判闘争ですでに33人の原告仲間が亡くなった生きている間の解決という私たちの切実な願いを聞いてほしい」と訴えました。
被告の原因企業は原告の訴える症状は水俣病ではないと主張しています。
水俣病は患者が差別されたこともあり、福地さんは裁判が始まってから11年間、原告であることを公表してきませんでした。
しかし11月から名前と顔を出すことに決めたといいます。
〈原告のひとり 福地幸二さん〉
「後ろ指をさされるのは覚悟のうえで後に続く方もいるのでどんどん発信していきたい」
国は控訴の棄却を求め、今後の裁判で主張を明らかにするとしています。
次の裁判は来年2月に行われます。
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