地域の安全を守り、緊迫した現場にも駆けつける交番勤務の警察官。 泥酔して暴れる人や自転車の盗難などあらゆるトラブルへの対応……。
この秋、新たに赴任し奮闘する新人警察官に密着しました。
住民の安全を守り、困ったとき頼りになる交番。 時には、緊迫した現場へ駆けつけることも。
交番勤務の新人警察官、その24時間に迫ります。
◆28歳新人警察官
ことし9月…… 県警察学校で開かれた卒業式。 4月に入校し、6か月間の厳しい訓練を乗り越えた新人警察官が門出の日を迎えました。
〈指導教官〉
「新潟署大変だと思うけど、樋口なら大丈夫だから」
「よし、いってこい」
卒業生のひとり、樋口碧巡査(28)。
大学を卒業して警備会社に入りますが、27歳で警察学校の門をたたきました。
〈新潟県警 樋口碧巡査〉
「私は前職が警備員で働いていたんですけど、そこでもっと一歩踏み込んだ治安維持に対する仕事をしたいなという思いでここに入りました」
「プレッシャーもありますけども頑張っていこうと思います」
◆県内一多忙な交番 その一日に密着
多くの人が行き交う新潟駅南口。 この場所に拠点を置くのが新潟警察署笹口交番です。
ことし1月から10月末までの110番受理件数は県内でトップクラス。 およそ2500件に上ります。
ことし10月、最初の赴任先として笹口交番に配属された樋口巡査。 街の交番に勤務する地域警察官は朝から翌朝までの24時間、休憩を取りながら勤務にあたり、1日働いて2日休む勤務体系でまちを守っています。
午前11時…
地域の住民を訪問し特殊詐欺の防止などを呼びかけます。
〈先輩警官〉
「今はいろいろな詐欺の手口があるので、注意してください。入り口は自宅に設置されている固定電話から詐欺の被害の始まりだと言われています。」
〈樋口巡査〉
「地域の住民の方が不安に思っていることだったり、そういったことを我々に話していただければと思ってお話をしています」
通報など事件がないときにはトラブルや困っていることがないか、積極的に地域をまわります。
午後1時お昼の休憩……。
樋口巡査は手作りのパスタ弁当、先輩警官は愛妻弁当を食べ始めますが、食事中にも交番の窓口に訪れる人も。その度に箸を止めます。市民の信頼を背負う警察官… 食事中であろうと気は抜けません。
◆110番通報「男性が商業ビルで暴れている」
午後1時半……
一件の110番通報が入りました。 一人の男性が商業ビルで暴れているという警備員からの通報です。
駆けつけると座り込む高齢男性の姿が……
〈男性〉 「何こんなぞろぞろ来てんだ!おまえらパー(あほ)か?」
〈警察官〉 「パーじゃない。大きな声出さないで」
〈男性〉 「パーらねっかや。6人も7人もきて」
〈警察官〉 「落ち着きましょ」
酒に酔った様子でそのまま抵抗を続けます。
〈男性〉 「お前、自分の名前も名乗らないで名前なんていうんか」
〈警察官〉 「私が言えば教えてくれますか?」
〈男性〉
「教えるわけねえだろうが!」
〈警察官〉
「とりあえず外でましょ」
〈暴漢〉
「関係ねえよ」
これ以上、抵抗し建物に居座り続ければ「不退去罪」に問われる可能性があると説明すると、男性は自ら建物から出て行ったと言います。
〈樋口巡査〉
「話が通じない、多分お酒に酔ってらっしゃる状態だと思うのでなかなか話が通じない中で説得するのは難しいと感じました」
警察学校とは違い何が起きるか分からないリアルな現場…。いざというときに市民を守るにはまだまだ実力不足の自分自身。
〈樋口巡査〉
「学校で学んだことだけじゃ全然足りないなと痛感しました」
◆逮捕術の訓練
新人警察官は交番へ赴任したあとも逮捕術の訓練を行います。 刃物を持った人を警棒を使って取り押さえる動きなど、様々な場面を想定して稽古を積みます。
〈樋口巡査〉
「この逮捕術で学んだことを現場で生かせるように頑張りたい」
◆相次ぐ自転車の窃盗被害
午後8時……
男子高校生とその父親が交番にやってきました。
〈男子高校生〉
「自転車がない」
〈警察官〉
「ちなみにどこに置いておいたら?」
〈男子高校生〉
「向こう側の駐輪場に置いておいたら」
「鍵もしていたんですけど…」
駐輪場に自転車を停めていたところ自転車がいつのまにかなくなっていたといいます。
駅の南口で相次ぐ自転車の窃盗被害… 今年1月から10月末時点で、駅南地区の自転車の盗難被害件数は135件に上ります。 そのうち約6割はカギのかかっていない無施錠の自転車が狙われました。
〈高校生の父親〉
「ここらへん結構盗まれるんですかね…」
〈樋口巡査〉
「そうですねあれだけ大きい駐輪場だと盗まれる人も多いんですよね」
車体番号を確認し、自転車の届け出がないか確認するも見つからず…… 被害届を提出しました。
駐輪場でのパトロール強化など対策に乗り出していますが……
〈布施直也交番所長〉
「検挙できればいいんですけど、なかなかそれがそんなに多くないというところで。まずは盗まれない状況を作らないということで、鍵かけを皆さんに徹底していただいて、被害を少なくしようと中心にやっています」
◆「声なき声を聞けるよう」
その後も夜遅くまで交通事故対応や近隣トラブルなど様々な事案に対応しました。
警備員から憧れの警察官に転職した樋口巡査。
市民の平和を守れるようこの場所で警察官としての礎を築きます。
〈樋口巡査〉
「どんな小さなことにも気付けて、声なき声を聞けるような積極的にこちらから対応できるような警察官になっていきたい」
警察官として踏み出した一歩。24時間、365日まちの治安・市民の安全を守るため今日も新人警察官が奮闘しています。