小正月の1月15日、十日町市の松之山温泉では伝統の奇祭「むこ投げ」が行われました。投げ落とされた夫は無事に妻のもとへと行くことができたのでしょうか。
しんしんと雪が降る中、威勢の良い掛け声が響きます。十日町市の松之山温泉です。担がれていたのは「むこ投げ」に挑戦する夫。ことしは新婚の夫婦2組が参加しました。お堂の高さは、約5メートル。斜面の下では妻が心配そうに見守ります。そして…
「1、2の3!」
ふかふかの雪の中を転がる夫。受け止めたのは、愛する妻…ではなく地元の住民。妻はすぐに駆け寄り夫を支えますが手厳しい指摘も。
「あんま飛んでなかった?」
「ちょっと低空だった」
それでも…
夫)「気持ちよかったです」
この「むこ投げ」は地元の娘をほかの集落の男性に取られた腹いせで始まったといわれていて松之山伝統の奇祭として300年以上の歴史があります。2組とも、ケガなく無事に終え祝福ムードの中、夫婦生活への思いを新たにしていました。
〈福原圭杜さん・渚未さん〉
「やわらかい優しい地元ならではの雪だなと思いました。自分のところまでころころしっかり転がってきてくれてよかったです。うれしかったです。笑って過ごせればいいなと思います」
〈早川元さん・愛さん〉
「みなさんにこうやってお祝いしていただいたので、その責任を持って幸せに暮らしたいなと思います。どんなに雪にまみれてもまた這い上がってつらいことがあっても頑張っていきたいと思います」
「むこ投げ」のあとは「すみ塗り」が行われ、新しい年の“無病息災”を願います。厳しい寒さと大雪の中でも温泉街はあたたかい笑顔に包まれていました。
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