新潟市の中心部・古町地区にある地下街、西堀ローサ。
ことし3月末ですべてのテナントが退店し、およそ半世紀の歴史に幕を下ろします。最後の年末となった去年12月。ここでどんな人たちに出会えるのか、1日カメラを向けました。
◆姉妹で毎日散歩
ナポリタンがおいしい喫茶店では女性がカフェを楽しんでいました。
【姉妹で訪れていた利用客】
「いつもここね毎日来て、散歩なの。雨降ってもできるから。何年も来ていますよ。毎日歩いています。足腰が悪くならないように、片道30分ぐらいで歩くんですよ、だから往復1時間」
2人は2つ違いの80代姉妹。 マンションの2階と3階に別々に住み、健康のため一緒にここまできて歩くのが日課といいます。
【姉妹で訪れていた利用客】
「こうやって努力しないと。1人だと歩きませんよ。2人だから歩かれるわけ」
そしてここでホッと一息して帰るのだそう。
◆「青春の思い出」
おっ!何かメニューをじっと見ている人が……。
【店を訪れた人】
「ここ開くのに並んでいました。11時です。先週電話したら1巡目で入られなかったって聞いたんで、呑もうと思って。今日、ライブがあるんでそれに行くんですけど、その前に」
ライブは昼1時から。 その前に気分を高め向かうみたい。
【店を訪れた人】
「ここは私たちの青春時代の思い出の場所なんで…。待ち合わせは今、水が出ていませんけど噴水広場で待ち合わせてデートする」
◆「噴水広場で待ち合わせ」
昭和51年10月にオープンした西堀ローサ。 かつては流行の発信地として、にぎわいました。
【店を訪れた人】
「噴水広場で待ち合わせねみたいなのが、ちょっとトレンド……」
Q)そのときの恋はどうだったんですか?
【店を訪れた人】
「今の主人です!」
懐かしい、淡い思い出。
◆ハンドパン演奏
Q)これは今何をやっていたのでしょうか?
【ハンドパン演奏者】
「ハンドパンといいます。ハンドは手ですね。パンはフライパンとかのパンですかね。わからない」
2000年頃スイスで発祥したという比較的新しい楽器だそう。ハンドパンで演奏してくれました。
【ハンドパン演奏者】
「この見た目と音色のギャップにやられます。音は9つしかないんですよね。9つしかないのでピアノよりも音数が少ない。指でやっているだけだから、もしかして楽譜も読めないし、音痴だけど、年もいっているけど、もしかして出来る?と思って」
◆レコードが趣味
中古レコードを扱う店でなにか探している人が……。
【レコードが趣味の男性】
「昔のアイドルとか珍しいレコードとか点字のレコードって珍しいでしょう?」
Q)点字のレコード?白くて少し見づらいですけどポツポツとなにかありますね。
【レコードが趣味の男性】
「点字で書いてある」
Q)そういうのは今もあるかもしれないですけど、昔からあったんですね?
【レコードが趣味の男性】
「庄野真代とか…南沙織とかザ・ピーナッツとか知らない人ばっかりでしょう?」
懐かしく、時代を感じるレコードの数々。 20代の頃を思い出し、この中古レコード店に足を運ぶんだそう。
Q)家に何枚くらいお持ちなんですか?
【レコードが趣味の男性】
「1500枚。少ない方よ。家にステレオとカバンみたいな(レコードプレーヤーが)あるんだわ。持ち運びができるからそれでちょっと公園とか海辺で聴いたり。ただ、(車を)運転しながらできないんだわ。針が飛ぶから」
レコードにはレコードの味がある。 若い頃の思い出が蘇ってくるんだそう。
◆ミャンマーから新潟へ
内戦が続くミャンマー。 こちらの女性、新潟にはつい最近来たんですって。
【ミャンマーから来た女性】
「今、新潟に住んでから2か月になりました」
Q)でも、日本語上手ですね。
「いえ、まだまだ。今も勉強中ですから」
雪を見たのは初めてでうれしかったけれど、この寒さは厳しいみたい。
Q)今、何をされているんですか?
「今、建物の設計をしているエンジニアです」
母国で勉強し、それを日本で仕事に……なんかすごい!
【ミャンマーから来た女性】
「ミャンマーの料理を作っていた。日本の料理は慣れていないから」
Q)どんなのですか?ミャンマーの料理って。
「(写真を見せて)これです。エビとトマトと(唐辛子を入れ)作った料理です」
Q)これ辛そうですね!
「ミャンマー人は辛いものが好きですから、ミャンマーのメジャーな料理です」
Q)ちなみに日本に来て一番おいしかったものって何ですか?
「すしです。すしは大好きです!」
Q)すしの中でいろいろネタがありますけど何が好きですか?
「魚…」
Q)これはダメだったなあっていうのは?
「刺身です。刺身は食べられないです」
Q)すしは刺身をご飯に乗っけてますよね?それはおいしい?
「おいしいです。でもね、刺身は魚だけですから、すしはご飯と一緒に作ってあるから大丈夫」
Q)でも、刺身だけだと食べられない?
「はい、食べられない」
シャリの酢飯があることが違うのかな? 新潟の冬、暖かく過ごしてくださいね。
◆将来の夢はITエンジニア
取材していたらある親子に出会いました。高専生という息子さんには今、夢中になっていることがあるそう。
【息子】
「今ロボティクス部っていう部活に入っていて、ロボットを作るんですよ。そこの今1年生のチームリーダーをやらせてもらっているので(部活を)結構がんばっています」
Q)ロボコンとか?
【息子】
「(大会に)出まして今年、ちょっと映っているかもしれない。はい、一応1年生として出ています」
残念ながら全国大会までには駒を進められなかったけれど、技術を結集しチーム一丸となって戦いました。
【息子】
「小学4年生のときにロボットでサッカーをする競技に参加していて、そのときに長岡高専のチームを目の前で見て、そこから凄いなと思って入学を目指しました。小学生から将来を描き、そこを目指し進んできました」
【母親】
「ロボットは生まれたときから好きです」
【息子】
「初めてしゃべった言葉が照明の『点いた』、『消えた』だったらしいです」
【母親】
「初めて笑ったのも電気が点くのを見て笑うみたいな感じ。生まれたときからそう」
そしてこれからの夢とは……
【息子】
「もうITエンジニア一択ですね」
頼もしい、高専生。これから日本を、そして世界をどんな未来に変えていってくれるのかな。
◆時代と共に変わりゆく地下街
かつてあった新潟の堀……。時代と共に変わりゆく、にぎわいをみせた「西堀ローサ」。
今、またひとつの歴史が終わり、どんな未来になるのか気になります。