新潟市中央区にある「イトーヨーカドー丸大新潟店」が1月26日に閉店します。
新潟市の中心部で46年にわたり“本町”のにぎわいを支えてきた総合スーパー。閉店することで生じる、いわゆる「買い物弱者」への対応が迫られています。
◆「なくなると本当に困る」
【街の人】
「お稽古で毎週金曜日に来ているので毎週、本町を通って買い物をしています。あと、枝豆がおいしいお店で夏はいつも買ったりしてる。古町をぐるり一周することが私の週1の楽しみ」
【街の人】
「今日はね、孫を迎えに行くんですけど途中で買い物」
Q)古町にはよく来られるんですか?
【街の人】
「一週間に5~6回、ほとんど毎日。だからイトーヨーカドーがなくなると本当に困る。私、車の免許がないからどうしても自分の足で歩かないといけないから、ここないと万代までいかないといけないので困りますよね」
Q)週にどのくらい来ているんですか?
【街の人】
「毎日。お嫁に来てからだから50年近く…。本町は何でも揃うわね。イトーヨーカドーがなくなったらどこで買い物すればいいかと思ってる。大変なんてもんじゃない。不自由で不自由でどうしたらいいかわからない」
◆46年の歴史に幕
新潟市中央区本町通り。
全天候型のアーケードの中には、お店だけではなく露店もあり毎日、買い物客が行き交っています。 その中心となっていたのが、「イトーヨーカドー丸大新潟店」。 1月26日、惜しまれつつ閉店します。
◆商店街の理事長は
商店街に店を構える婦人服専門店のバンナイ。 店主の坂内さんは、商店街の理事長を務めています。 イトーヨーカドー丸大新潟店の閉店についてお話を聞くと……。
【本町六商店街振興組合理事長・坂内由和さん】
「(イトーヨーカドーの閉店は)寂しいですね。子どものころからあったわけですから。我々商店街と協力してくれる場面が多かったですね。企画などいろいろな面でお手伝いしていただいた。そういう関係がなくなるのかなあと、どうしたらいいんだろうかなと思っています」
◆「街にとって大きな痛手」
新潟市の中心部に位置する古町・本町エリア。 かつては商業の中心地として栄えていましたが、近年、中心部のデパートや小売店舗は減少。地域住民、特に高齢者世帯は、日常的な買い物に不便を感じるケースが増えています。
このような状況について、行政は。
【新潟市商業振興課・佐久間由紀恵課長】
「長年地域に愛されてきたお店なので、(閉店するのは)とても大きな痛手でありますね。ただ、商店街には鮮魚店や生花店、ドラッグストアなどもありますので日用雑貨も買えますね。実は本町商店街全体を見ると、いろいろな品目は商店街の中で揃えられるんじゃないかと思います。これをチャンスに変えて、お客さんがなるべく離れないようにみなさんに商店街本来の魅力をどんどんPRしていく協議を進めています」
◆「いろいろ手を打たないと」
イトーヨーカドーの閉店後は、夏に、新しい店舗に生まれ変わる予定ですが、少なくとも、およそ半年あまり、日常の買い物が難しい状況が続きます。 そうなることで商店街全体の活気が失われる恐れも。
【本町六商店街振興組合理事長・坂内由和さん】
「イトーヨーカドーの集客力は大きいですね。ほとんどの人がイトーヨーカドーの後に商店街を回ることが多いのでその辺が一番怖いですね。商店街としてもいろいろ手を打たないとダメだろうなと思います」
◆「各店の役割が大きくなっていく」
このような状況の中、商店街の店では……。
【手作り総菜の店かえん・富永雅樹さん】
「本町、六番町の私たちの役割が大きくなってくると思います。イトーヨーカドーさんにあったものをお客さんは求めてくるのでそこらへんを強化していきたい。」
Q)今まで以上にそれなりに労力がかかりませんか?
【手作り総菜の店かえん・富永雅樹さん】
「それはしょうがないです。離れてほしくないお客さんがたくさんいますので、お客さんの要望に応えていくためにも少しは無理をしながらでもやっていきたいと思います」
◆ボランティアの買い物代行
一方で、ボランティアの活動を利用し買い物の不便さを解消する動きも。 新潟市のボランティア団体「はまなす」の代表、小林さんです。月に数回、高齢者向けの買い物代行を行っています。
有償で1回300円かかりますが、利用者は増えているといいます。 この日の買い物は全部で12種類。依頼主の希望通りのものが買えました。
【有償ボランティアの会はまなす・小林キミさん】
「主にひとりで暮らしている方や病気などで自分でもなかなか動けない人が利用しています。高齢化の時代になっているのでそういった人たちから依頼があります。いまは一週間に2回の頻度で依頼を受けております」
◆住民参加型在宅福祉サービス
現在、新潟市では住民同士が助け合う「住民参加型在宅福祉サービス」という取り組みが行われています。
この取り組みは、高齢者が普段の生活の中で抱える問題をボランティア団体などを通して登録したボランティアがサポート。
買い物代行やゴミ捨てなど、ちょっとした困りごとを解消することができます。ボランティア団体「はまなす」もその一つ。 4年前に大きな病気になった小林さん。 その時、多くの人に助けれられたことがきっかけで2年前に「はまなす」を立ち上げました。そこには「誰かの役に立ちたい」という思いが。
◆「いろんな分野でサポートできるように」
【有償ボランティアの会はまなす・小林キミさん】
「同じ(高齢者という)立場に立ってお話したり、また『お元気で』という感じでほかの人より頼みやすいと依頼者さんは言ってくださいますね。イトーヨーカドーがなくなるということは本当に困る人が出てくると思います。そうなれば依頼の数は増えると思うんですよ。会員も広範囲に広げていろんな分野でサポートできるように増やしていきたいですね」
◆「買い物弱者」の課題
本町商店街は去年、月に一度の日曜マルシェという企画を開催していて、多くの人が訪れていました。 ここにも、イトーヨーカドーの協力があったということです。 ことしも、毎月イベントを企画していきたいと街の人たちは考えていますが、にぎやかなだけではなく、不便さを感じさせないという点も大きな課題だということでした。
決して他人事ではない「買い物弱者」の問題。 行政や商店街そして、民間団体が手を取り合って解決していかなければいけない大きな問題です。