新潟市の中学生が十日町市で美術作品を壊した問題について、和解が成立しました。
1月30日に開かれた十日町市の臨時議会で和解案が賛成多数で可決。今後、新潟市との間で示談書が作られます。
問題が起きたのは2022年4月21日。「大地の芸術祭」の開催の約1週間前です。当時、修学旅行で十日町市の「越後妻有里山現代美術館 MonET(モネ)」を訪れていた新潟市の中学3年生2人が、展示作品を破損しました。
壊されたのはクワクボリョウタ氏の《LOST #6》と、カールステン・ニコライ氏の《Wellenwanne LFO》です。
ニコライ氏の作品は仮修復で展示を再開できましたが、クワクボ氏の作品は全損。修復完了まで4か月以上、展示が中止されました。
作者のクワクボ氏は当時、「重要なのは、生徒たちが内なる不満や怒りや欲望をさまざまな違った形で表現できるように支えること」「この事件が彼らや彼らのコミュニティ、そして芸術を愛する人々に悪い印象を与えないよう、最善を尽くしたい」といったコメントを発表しています。
一方、十日町市は警察に被害届を出し、賠償をめぐって新潟市と協議を続けてきました。
新潟市議会は2024年12月に賠償金として約674万6000円を支払うことを議決。十日町市議会はことし1月30日に臨時議会を開き、同額での和解を賛成多数で決めました。
賠償金は新潟市の学校活動にかかる保険などを充てます。故意ではなかったとして壊した生徒や親には求めないということです。新潟市の教育委員会によると、今後、両市の間で示談書が作られ、正式に和解が成立します。