至宝のビッグクラブ行きはあるのか。スペイン1部レアル・ソシエダードの日本代表MF久保建英(22)が、29日に行われた親善試合のJ1東京V戦(国立)で先発出場し、日本のファンを魅了した。Rソシエダードの一員としては今季の活動を終了。今夏は去就問題が注目される中、元日本代表MF前園真聖氏(50=本紙評論家)が移籍のポイントを展望した。
〝凱旋試合〟に先発出場した久保は、再三にわたって得意のドリブルで相手を翻弄。FKやCKでもキッカー役を務めて攻撃をけん引し、2―0の勝利に貢献した。
久保は後半3分と不自然なタイミングでFWミケル・ゴティと交代。「ちょっともも裏が痛くて」と試合後に明かしたが「ケガではない」と軽症を強調した。
今後は6月に北中米W杯アジア2次予選のミャンマー戦(6日、ヤンゴン)とシリア戦(11日、広島)に臨む森保ジャパンに招集されているが、Rソシエダードの一員としては今季の活動を終了。「スタートダッシュは良かったけど、途中でいろいろあってつまずいてしまった。自分の100%を出せない時期があったので、100%を常に出せるようにしたい」とシーズンを総括した。
これから注目されるのは去就問題。今夏はビッグクラブへの移籍が取りざたされており、その動向が脚光を浴びている。
前園氏は「彼の野望というか、CL(欧州チャンピオンズリーグ)で上に行けるかといったら、Rソシエダードもそこまでではありません。よりビッグクラブとなったら、当然次のステップアップは考えていくと思います」と指摘。「スペインでそこから上となると、レアル・マドリード、バルセロナ、アトレチコ・マドリードしかありません。それか、今話題にもなっているような(イングランド)プレミアリーグで、リバプールとかアーセナルとかというところになってくるでしょう」と展望する。
そうなると気になるのは、久保がプレースタイルの異なるイングランドでも通用するのか。「当然サッカーも多少違うので、フィットしていくのは少し時間はかかるかもしれません。ただ彼は賢い選手ですし、非常にサッカーIQが高いです。技術的なことや戦術理解度を考えると、問題ないと思います」と世界最高峰の舞台でも活躍できると太鼓判を押した。
続けて「あとはチーム選びが重要になってくるでしょう」とした上で、移籍先選定のポイントをこう強調する。「彼をどのように使うのか、監督とか、チームの戦い方を含めて重要になってきます。自分のポジションの周りの選手とのイメージの共有もすごく大事になってくるでしょう」
久保は以前所属したRマドリードから期限付き移籍を繰り返し、特に2020年8月に加入したビリャレアルでは当時のウナイ・エメリ監督から〝冷遇〟された経験がある。今夏ステップアップを狙うなら、指揮官や同僚の相性を慎重に見極める必要がありそうだ。至宝の進路はいかに――。