パリ五輪の自転車競技トラック種目日本代表候補選手の発表記者会見が29日、静岡県伊豆市の日本競輪選手養成所で行われた。中距離種目の男子チームパーシュートには、チーム全体の判断を受け、短距離の中野慎詞が入る構成となった。
チームパーシュートの主力メンバーである橋本英也は「選出されたメンバーで全力を尽くす」と話しつつも、苦しい胸の内を明かした。
「日本記録を出したメンバーで走りたかった…」
五輪はネイションズカップや世界選手権とは違い、選手選出の規定がより細かく決められている。まずこの苦しい選択についてブノワ・ベトゥ(トラックテクニカルディレクター)は「納得いかないルールの設定があり、それに合わせて選出した。責任は国際委員会にある」と顔を紅潮させた。
フルメンバーで戦わせられない苦悩はコーチ陣にもある。ルール内で日本チームとしてメダル獲得の可能性を考慮し、チーム全体としての選出である。
橋本は前向きな笑顔を浮かべながらも、厳しく言葉をつづけた。「これでチームパーシュートで五輪を目指そうという選手がいなくなることが…」。各国が抱えている問題でもあり、五輪のあり方が問われる現実がある。