俳優の真田広之(63)が主演し、プロデューサーも務めたハリウッド連続ドラマ「SHOGUN 将軍」が世界的にヒットした。同作で遊女役に抜てきされて熱演したのが、女優の向里祐香(こうり・ゆうか=33)。“SHOGUN”に認められたバイリンガル女優はインタビューで、3分の映像でハリウッドデビューを射止めた舞台裏を語った。
「SHOGUN」は戦国時代末期、真田が演じる関東の領主の吉井虎永らが覇権を懸け、攻防を繰り広げる戦国巨編だ。動画配信サービスのディズニープラスで2月に配信された第1話は全世界で900万回再生され、ディズニープラスで歴代1位の再生数を記録。4月に配信された最終の第10話まで反響を呼んだ。
向里は周りの男性たちをとりこにする遊女のお菊役。これがハリウッドデビュー作でもあった。
反響は大きかった。
「SNSでは一気に海外の人からのフォローが増えて。タイや中国の方が多かったです。頑張って日本語に翻訳して書いてくださったコメントやDMの中には、漫画で日本語を覚えた方なのか『オマエ、やるじゃん』みたいなメッセージもありました」とほほ笑む。性格は快活で、パッチリした瞳が印象的だ。
これまでNHK朝の連続テレビ小説「まれ」(2015年)、テレビ朝日系「相棒」(17年)、近年ではTBS系日曜劇場「下剋上球児」(23年)などに出演したが、「SHOGUN」への出演は本人も「まさか」だった。
ハリウッドでは、役者が実際に演じた映像が制作サイドに送られ、選考を通過した後にオーディションに臨む。
「『SHOGUN』ではキャラクターごとに役の募集があり、私は21年頭にお菊の映像を撮りました」
実際の劇中の2つシーンを演じた。2~3分の映像だった。
制作サイドに送り、「それだけで選ばれました(苦笑)」。
ハリウッド作での出演決定に当初は「ホント?」と半信半疑だった。
21年10月~22年6月、カナダ・バンクーバーでの撮影に参加した。
制作サイドに起用の理由を聞くと、「芝居の良さはもちろん、“お菊はコウリさん”というイメージしかなかった」と言われた。制作サイドが描く遊女のイメージに合致した。日本のドラマや映画で演技を磨き続けたことも大きかっただろう。
武将の樫木藪重(かしぎ・やぶしげ)を演じた俳優の浅野忠信(50)とは初共演だった。国内外で活躍する演技派が撮影現場で見せる姿に刺激を受けた。
「浅野さんは柔軟な方というか。ピリッとした空気になるかなと思ったけど、演出を受けたら『分かりました。やってみます』とフラットでした」
韓国語を話せる。
「10年くらい前に勉強しようと思って、好きな韓国のドラマや映画を見ながらコツコツと覚えました。ほかには、ユーチューブで韓国の役者さんの5分くらいのインタビューの動画を繰り返し見て。知らない単語は書き出して覚え、また動画を見る。考えずに理解できるくらいまで見ました」
勉強開始から5~6年で日常会話ができるようになった。
「韓国の作品は出演したことがないので出演したい。もちろん日本の作品でもがんばりたいです」
芸能界にデビューして11年。遅咲きのブレークの予感が漂う。
☆こうり・ゆうか 1990年9月24日生まれ、東京都出身。身長168センチ。2013年にデビュー。特技は韓国語、ダンス、三味線。