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売上高2兆円!ドン・キホーテの強さは〝フルスイング開発者〟にあり ホームラン商品を連発

東スポWEB 2024年6月27日 17時8分

成長の強さは人にあり!? 売上高国内4位となった「ドン・キホーテ」には仕事にマジな商品開発者がたくさんいる。流通ウォッチャーの渡辺広明氏と商品展示会を訪れ、世の中にインパクトを与える“フルスイング開発者”を徹底取材すると…なぜか昭和風情たっぷりの、夏のおすすめ商品3選が完成した。

ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下PPIH)が17日、24年6月期連結売上高が2兆円を突破したことを発表した。

「これで1号店を開店させた1989年から35期連続の増収を達成しました。国内の小売業ではセブン&アイHD、イオン、ファーストリテイリング(ユニクロ)に続いて4位にまで駆け上がりました。驚きの成長率ですね」(渡辺氏)

PPIHの躍進を振り返る上で必ず触れられるのが「長崎屋」や「ユニー」のM&Aだが、渡辺氏は「あらゆるジャンルに優秀な商品開発者が存在し、結果として“ドンキらしさ”が効果的に演出されている」と別の成長要因も指摘する。どういうことか?

「ドンキがピープルブランドと呼んでいる『情熱価格』(PB=自社開発商品)が軌道に乗ったこともそうですが、尖った商品を持ってくる腕利きがいるのです。売れると思っていたものが全然売れないなんてことは商品開発の世界ではよくある話。ただ安パイばかりを開発するようになると小さくまとまってしまい今度は逆にホームランが出なくなる。野球に例えるのが適切かどうか分からないけど、フルスイングできる商品開発者というのは天性の資質を持っている貴重な存在なんですよ!」

渡辺氏とともに14日に行われたドンキの商品展示会に行くと、そこには既にヒットした商品から期待の新商品までズラリと並んでいた。

フルスイング開発者のひとりがPB企画開発(食品)の渡辺友成氏だ。“ナッツ王子”としてテレビに出演したこともあるが、この日は違う商品を激推ししてきた。

「缶詰が好調なんですよ。みかん缶を2種類発売していて、ひとつは昔ながらのシロップ漬け。こちら(税込み322円)はなんと、みかんジュースで満たされているのでそのまま飲んでいただいてもいいし、凍らせて食べてもおいしいです。フルーツの缶詰なんて昭和の時代には高級だったでしょう? でもこれならお得に買えますし、これから夏だし思いっきり食べてほしいっすね! コーン缶はラベルレスでSDGsにも…(以下略)」

こちらが1つ質問しようものなら10は返ってくるというおしゃべり上手だ。

続いては「自分が欲しかった」という正直すぎる理由で昭和レトロ扇風機(税込み7678円)を開発した家電担当の今井潤氏。

「去年、同じようにレトロの卓上扇風機を買いました。使っているうちに昔の家で使ってた“本物”がいいな~と思って調べたら、もう生産している工場がないし、金型も残っていないと…。それでも諦めきれなくて作っちゃいました(笑い)。弱中強だけの風量調節、タイマーもガチャガチャ、ネジで高さ調節も当時のままです。最近ですと(騒音が少なく細かな風量調整ができる)DCモーター(直流)を使用する扇風機もあるんですが、昭和にはACモーター(交流)しかありませんでしたから私の中では一択でした。当時と違うのは安全性を考慮して金網を細くしたところだけです」

社内会議では反対する声も大きかったが、今井氏が情熱で寄り切った。

最後に紹介するのは「男気トリマー」(税込み2178円、7月発売)を担当する同じく家電担当の柄澤喜行氏。つるすべ男子が重宝される今、ムダ毛処理に使用されるトリマーは注目の家電だが、どうしてわざわざこんなデザインを選んだのか?

「この商品は中国・広州の商品展示会で見つけてきたんですよ。ちょっと昔っぽいやんちゃな柄が上の世代の方にも楽しんでいただけそうだし、令和のマイルドヤンキー層にも刺さるんじゃないかなって。意外と高校生のお小遣いでも手が届く価格ですし、ネタとしてのプレゼント需要も満たせるんじゃないかと思っています。なんでもシンプルがいいという流れに対して“男気”がどこまで通じるのか」

レトロ扇風機の風をさっそうと浴び、みかんの缶詰をたらふく食べ、もみあげと襟足を男前に整える夏もアリなのかもしれない。

☆わたなべ・ひろあき 1967年生まれ。静岡県浜松市出身。「やらまいかマーケティング」代表取締役社長。大学卒業後、ローソンに22年間勤務。店長を経て、コンビニバイヤーとしてさまざまな商品カテゴリーを担当し、約760品の商品開発にも携わる。フジテレビ「Live News α」コメンテーター。Tokyofm「ビジトピ」パーソナリティー。

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