東京都知事選（７日投開票）で台風の目となっている前広島・安芸高田市長の石丸伸二氏に〝あの男〟がかみ付いた。石丸氏は１日、「杉並純情ツアー」と題し、新宿、高円寺、阿佐ヶ谷を遊説したが、候補者の小林弘氏が乱入し、石丸氏と接触を試みる騒ぎとなった。
午後５時から高円寺駅南口で始まった石丸氏の演説。多くの支持者や通行人が耳を傾ける中、小林氏が愛犬のクーちゃんとともに姿を現した。石丸氏の選挙カーの真下に歩み寄ると「候補者です！」と大きな声で演説に割って入った。
突然の乱入者に石丸氏は「今、しゃべってるのでやめてもらっていいですか」とマイク越しに毅然と対応。小林氏はすぐに関係者に囲まれ、移動を余儀なくされた。
小林氏はポスター掲示板の４８人枠から外れ、クリアファイルでの掲示で一躍、話題となった。高円寺在住で「石丸さん、高円寺にようこそと。握手でもしたいなと思って来ました」とエールを送るつもりだったという。
演説終了後に再度、石丸氏に接触を図ったが、またしても関係者に阻まれ断念。過ぎ去る選挙カーに最後まで「石丸さん！ 石丸さん！」と声をかけ、手を振った。
握手はかなわなかったが、わざわざ来たからにはこのまま帰るわけにはいかない。石丸氏目当ての聴衆が残る駅前にすぐさまスピーカーを設置し、ものの３０秒ほどで石丸氏と同じ場所で演説を開始した。
すると石丸氏が市長時代に市議会議員を諭したことに「人生の先輩である議員に対してあの恫喝のような、神経を疑いますよ。人を叱る時は一対一。褒める時はみんなの前で。これ常識ですよ」と訴え、「これも分からないやつが、東京のこと全くわからない広島県人が、何が東京都知事だコラ。ふざけんじゃないよ」と片付けにいそしむ石丸氏の支持者を尻目に叫んだ。
小林氏の今回の凸はあえなく失敗に終わったが、あくまで「会って話そうと思った」と強調。ポスター枠外男は、自身の選挙活動も常識という枠の中に収まることはないということだろうか。