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【F1】〝暴言癖〟改善中だった角田裕毅 差別発言騒動に小倉茂徳氏「契約解除にならなかっただけ、まだよかった」

東スポWEB 2024年7月3日 5時18分

F1のRBに所属する角田裕毅(24)の差別発言騒動は、一歩間違えれば大問題に発展していたかもしれない。6月30日のオーストリア・グランプリ(GP)決勝は14位に終わったが、不調だったマシンに改善の兆し。ただ、予選ではザウバーの周冠宇(25)に対して差別的な言葉を発したことで、4万ユーロ(約690万円)という高額な罰金処分が科された。モータースポーツジャーナリストの小倉茂徳氏(62)は、過去の事例を示しながら発言に細心の注意を求めた。

角田は決勝で14位に終わったが、前戦スペインGPで不調だったマシンには向上が見られた。小倉氏は「スペインGPのどん底から比べたら良くはなっている。マシンもトップ10前後に戻せるところまで見えてきた。今回はスプリントがあって(練習走行が少なく)車を試すことはできない週だったが、(次戦の)英国GP(7日決勝)はフリー走行が3回できるのでうまくいくかもしれない。より良い方向に持っていこうとするチームの努力は見える」と復調へ期待を寄せる。

一方で、オーストリアGPではレース外の面で騒動が起きた。予選Q1(1回目)のピットレーンで周に割り込まれたことに腹を立て、放送禁止用語と差別用語を連発。審査委員(スチュワード)による事情聴取で、角田は英語の意味を「誤解していた」などと釈明したが、4万ユーロ(半額は今季終了まで猶予)という高額な罰金を科された。

小倉氏は「角田選手としては深い意味もなく言ってしまったのだろう。ちょっと気の毒な部分もあるが(主催側が)こういう判断基準を今しているという例に使われた側面もあるのでは」と指摘。そして「NASCAR(全米自動車競走協会)でトップドライバーのカイル・ラーソンがやゆするような発言をして大問題になり、選手生命が終わりそうになった」と差別発言は厳罰化の流れがあることを強調した。

ラーソンはコロナ禍の2020年4月に、オンラインゲームによるレースイベントで人種差別的な発言を行って大騒動に発展。NASCARは無期限出場停止処分(翌年復帰)を下し、所属のCGRからは解雇されることに。スポンサー企業も次々と契約解除するなど深刻な事態となった。

今回の角田の発言は内容や状況も異なるとはいえ、差別的な発言に対してはモータースポーツのみならずスポーツ界全体が厳しい姿勢で対処する傾向が強まっている。「出走取り消しとか契約解除にならなかっただけ、まだよかったのでは」と小倉氏は指摘した。

角田は課題だった〝暴言癖〟が今季は改善しつつあった中、思わぬ形で再発した格好。F1でトップドライバーを目指す上で無用な騒動を避けるためにも、小倉氏は「今後、発言は気を付けないといけない」と注文を付けた。英国GPでは、みそぎの快走を期待したいところだ。

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