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橋本真也さんは「破天荒だけど、憎めない人」 記者もお構いなし…23年前に食らった重爆キックの記憶

東スポWEB 2024年7月3日 7時4分

【取材の裏側 現場ノート】7月3日は〝破壊王〟こと故・橋本真也さん生誕の日。橋本さんはこの40年と8日後の2005年7月11日に死去した。新日本プロレスからゼロワンと太く短いレスラー人生は数々の伝説で彩られるが、素顔も破天荒そのものだった。

記者にはこんな思い出がある。ゼロワン旗揚げ直前の01年2月のこと。都内のゼロワン道場は緊迫感に包まれていた。推定身長193センチの大男で柔道着を着た謎の白覆面と、村上和成(当時は一成)が合同練習を急襲。大谷晋二郎を血の海に沈め、橋本さんとも乱闘となった。

逃げ足の速い白覆面と村上は用意周到にも外にベンツを待たせてあり、追いかける橋本さんを振り切って退散した。その時、記者は不運にも橋本さんと目が合った。ものすごいけんまくで「コラ! 誰の車だ? アレは!」と聞かれたので「小川さんじゃないですか」と思わず答えた。破壊王は「何でお前、知ってるんだ! お前は(襲撃を)知ってたんだな!」と怒鳴って重爆キックだ。

小柄な記者は派手に吹っ飛び、アスファルト上にドスンと落下した。奇跡的に受け身が決まって頭は打たなかったが、息ができないほど胸が苦しい。軽~く蹴ったとはいえ、本物の重爆キックを素人がくらったのだから、それはそうだ。しかもこの翌週、某プロレス専門誌の表紙には「橋本 某紙記者に暴行」の見出しとともに、橋本さんに蹴られて吹っ飛ぶ記者のトホホな写真が…。

その後、関係者から電話があり、笑いながら謝られたが、橋本さんも「ちょうどよかったから、ぶっ飛ばしてやったよ」と笑っていたそうだ。それから数日後、ゼロワン旗揚げ戦の会場・両国国技館で橋本さんに会うと、真顔で「頼むぞ」と声をかけられた。何を頼まれたのか、今でもわからない。だが、真面目な橋本さんになぜか「任せてくださいよ」と胸を張って答えてしまった。

今の時代ではコンプライアンス的にアウトだろうが、記者にとって橋本さんは「破天荒だけど、憎めない人」という記憶しかない。亡くなってはや19年、橋本さんのようなプロレスラーはもう二度と現れないと思うと、ちょっと寂しい。(プロレス担当・初山潤一)

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