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【阪神】虎ベンチを爆笑させた敵将・新井監督の〝挑発パフォーマンス〟

東スポWEB 2024年7月5日 5時3分

阪神は4日の広島戦(マツダ)に5―7で敗れ、3位へ転落。首位・カープのスイープに失敗し、ゲーム差は3と開いた。4チームが3差内にひしめく大混セの中、今後もペナント争いの主導権を握ることになりそうなのが岡田彰布監督(66)率いる猛虎と新井鯉。かつての師弟でもある両指揮官のつばぜり合いは今後も激しくなっていくこと必至だ。実力伯仲の好ゲームが続いた今カードの舞台裏では、赤ヘル指揮官の新井貴浩監督(47)が虎ベンチ裏に単独突入し〝挑発パフォーマンス〟を披露する一幕も発生していた。

阪神の2勝0敗で迎えたカード第3戦は白熱した展開となった。一気呵成に3連勝を飾り、1ゲーム差に肉薄したかった岡田監督と、それだけは何が何でも阻止したかった新井監督。虎鯉両軍の意地と意地がぶつかり合う一戦は、ゲーム最終盤までスコアが拮抗した。

試合後に新井監督が発した「全ての面でリスク覚悟でいく」という言葉に象徴されたように、勝敗を分けたのは勝負どころで4つの盗塁を成功させ(5企図)、走者一塁の状況からは再三エンドランを仕掛け続けた広島ベンチの超積極的な走塁策。安定感を欠いた先発・アドゥワを4回限りで見切り、早めの継投に切り替えた決断も含め、この日に限っては赤い青年指揮官の用兵が昨季の日本一監督を上回った。

結果的に1つの貯金を手土産とし本拠地・甲子園に帰還することになった岡田監督だが、試合後は不機嫌全開。ゲーム序盤で3―1と2点をリードしながら接戦を取りこぼす展開とあって「けん制もせえへんねんから。初球であれだけやられてんのに」と自軍バッテリーへの苦言を連発。「『次、1点取らんとやられるで』って3回から言ってたよ。やられるパターンやん。こんなん見とったら分かるやろ」。3勝0敗と2勝1敗の差をかみしめながら、球場から引き上げるバスへと乗り込んだ。

第1次岡田政権時の2008年に、現虎将と鯉将はタテジマの「監督と選手」という立場で同じ釜の飯を食った師弟関係。時に他球団の監督に対してすら辛らつな発言を辞さない岡田監督だが、陽気で誰からも愛される新井監督のキャラクターには一目置いている節すらあり「新井はおもろいからな」と報道陣に対しても口にしている。優勝争いを繰り広げていた昨季終盤には、マツダスタジアムに乗り込む直前に「新井を激励せなアカン」と余裕たっぷりで挑発したことまであった。だが今カードにおいてハイレベルな〝煽りスキル〟を披露したのは球界屈指の人望を誇る「あのアライさん」の方だった。

カード第2戦に当たる3日に発生した一コマだ。試合前練習に汗を流す阪神サイドの三塁ベンチ裏に、単身ひょっこりと姿を現したのは他ならぬ敵将・新井監督。今月23日(エスコン)、24日(神宮)に行われる球宴について確認すべき案件があったとみられ、藤原監督付広報としばし談笑を続ける。そうする間に人気者の新井監督の周囲には、旧知の虎関係者たちが続々と集まりだした。

糸原、大山ら現役選手もあいさつに訪れる中、新井監督の目にとまったのは藤本内野守備走塁コーチ。6月30日のヤクルト戦(神宮)では三塁コーチャーとしての判断の誤りを、自軍のボスから手厳しく非難されたばかりだった。だが新井監督は突如中腰になり、右肩をグルグル回す「本塁突入ポーズ」を藤本コーチの面前で堂々と披露。禁忌の時事ネタに踏み込むことすらいとわない、器の大きなパフォーマンスをドヤ顔で敢行すると、これには周囲の虎関係者たちも思わず大爆笑するしかなかった。

特大の〝ラブ〟と〝ポジティブ〟な姿勢で若鯉たちをけん引する新井監督と、したたかで隙のない「普通の野球」を標榜する岡田監督。対照的な2人の指揮官は、今後どのような戦いを繰り広げていくのか――。シーズンはまだ、ようやく5合目を越えたばかりだ。

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