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〝神様〟カール・ゴッチのお墓が南千住にできたワケ 回向院住職が激白「八方ふさがりでウチに来た」

東スポWEB 2024年7月7日 10時10分

【プロレス蔵出し写真館】7月28日は〝プロレスの神様〟と称されたカール・ゴッチ(享年82)の命日。先月30日、X(旧ツイッター)で中嶋勝彦がゴッチのお墓を掃除している動画を投稿した。丁寧な掃除で好感が持てた。

さて、ゴッチのお墓は東京・荒川区南千住の回向院(えこういん)にある。没後10年たった2017年(平成29年)に建立された。ゴッチの遺骨は火葬された後、ゴッチの遺言で弟子たちによりフロリダ州タンパの北部にある湖に、亡きゴッチ夫人の遺骨とともに散骨されたが、分骨された遺骨を保管していたジョー・マレンコが日本に持参して一部を墓に納めた。

7月28日の納骨式には、墓の建立に尽力したアントニオ猪木と西村修、藤原喜明、前田日明、木戸修、タイガー服部レフェリー、ブル中野ら大勢が参列した。

猪木は「新日本プロレスを作る時、圧力があった中でゴッチさんが協力してくれた。これをきっかけに、レスリングに本来ある強さという原点を忘れないようにしてくれれば」と神妙な表情で語った。

墓石にはゴッチの教えが刻まれている。「Never lie , never cheat , never quit. 技術と精神は常に一緒だ 決して嘘をつくな 決してごまかすな 決して放棄するな」

墓の建立は回向院の住職、水野佳昭さん(58)の英断にあった。以下、水野さんに聞いた。

――ゴッチさんの墓が建立された経緯は

僕がプロレス好きだったっていうだけでしょうね。「炎のファイター」というファンクラブに入っていて、新日本派でした。交流があった藤波辰巳(現・辰爾)ファンクラブのSさんという女性が西村さんを連れて来ました。あるお寺に当たったら3000万円かかると言われたそうです。「とんでもない!」って、他にもいくつか当たって、八方ふさがりでウチに来たようです。格好よくいえば恩返しじゃないですけど、プロレスには世話になったと思っているので。ほかで建てるんだったらウチでという感じです。

――金額的には安い値段で

ほとんどタダに近いです。普通、檀家になると永代使用料とかもらうんですが、ウチはもらってないです。ただ、石(墓)は自分たちで持ってくださいねって。だからウチにとって、ウマい話でもなんでもないんです。

――維持費とかは

なんにももらってないです。

――お寺にお墓を持つ場合は一般的にそのお寺の檀家であること、といわれますが檀家は

誰でもないです。ウチは刑場の跡に建っているので史蹟のお墓があるんですよ(※吉田松陰を始めとする幕末の志士たちの墓など)。その史蹟エリアに入れたっていうことです。

――特にゴッチが好きだったわけではないんですね

晩年のエキシビション(1982年の藤原喜明、木戸修戦)でしか見てないですからね。

――いつ頃からのプロレスファンなんですか。「ワフー」と呼ばれファンには知られた存在でしたが

小学校低学年からです。5年生の時に「マニアックス」(※西馬込にあったウォーリー山口さんのプロレスショップ)の8ミリ大会のゲームで勝ち、ワフー・マクダニエルのTシャツをもらいました。それを着て会場に行ってたから、そう呼ばれるようになりました。家がお寺で和風だからって、そういう理由じゃないですよ(笑い)。

――誰のファンだったんですか

猪木さんです。納骨式の時、いっしょに写真を撮って感慨深いものがありました。(建立のための)資金集めの興行(7月24日、後楽園ホールで開催した猪木プロデュース「ISM.1」)で控室の猪木さんのところへ連れて行かれて、初めてお会いしました。立場がファンではなく、僧侶ということで立ててくれて…向こうから頭を下げられるって、想像したことないですから不思議な感じでした。

――中嶋がお墓を掃除してました。その投稿を見て、ゴッチの墓が日本にあることを知った人もいたようです

(お寺に)来た時に対応しました。なんか真っ赤なネクタイ(※マフラーも)で、どうなのかな?と思いましたけど。

――納骨式の後、お参りに来た人は

藤原さんは毎年来ますね、命日に。ドリー・ファンク(・ジュニア)は西村さんが連れて来たことがありました。フラッと来たのは里村(明衣子=センダイガールズ)さん。この何年かは、ほとんどないですね。今のところマナーの悪い人がお参りに来ることもないので、やっぱりプロレスファンなんだなと思います。

ゴッチ世代は減っていく一方。年が行くと体の自由もきかなくなり、墓参りもままならない。赤いネクタイとマフラーはマズかったが、中嶋のような若いレスラーが〝プロレス界の偉人〟を忘れず、発信するのは喜ばしい(敬称略)。

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