ボクシングの世界スーパーフライ級2団体王座統一戦(7日、東京・両国国技館)でWBA王者の井岡一翔(35=志成)は、IBF王者のフェルナンド・マルティネス(32=アルゼンチン)に大差の判定負け。2団体王座統一はならず、王座陥落となった。
無敗王者の猛打に屈した。開始直後からブンブン振り回してきたマルティネスのパンチを食らい、左ボディーで相手の勢いを止めるのが精いっぱい。この展開が中盤まで続いた。
劣勢の井岡はボディーから何とか活路を見いだそうとするが、上下左右から面白いように繰り出されるフェルナンデスの攻撃は止まらない。大きなダメージこそないものの、手数で圧倒されたまま時間だけが過ぎていく。
終盤、井岡も必死に仕掛けたが、マルティネスの足は最後まで止まらず無情のゴング。判定は3―0(116―112、117―111、120―108)と、一人のジャッジはマルティネスにフルマークをつける完敗だった。
2018年以来、6年ぶりに黒星を喫した。それも「過去最高のコンディションと言っていい」と強い決意で臨んだ一戦で大差の判定負け。一時代を築いた名ボクサーに、この残酷な結果は重くのしかかる。
井上尚弥(大橋)と並んでいる日本選手歴代1位の世界戦勝利数も伸ばせなかった。2019年に4階級制覇を達成した日本屈指の実力者も35歳。戦前に「やりたくてもいつまで続けられるか分からない職業。もしかしたら最後の試合かもしれない」と語っていたとおり、残された時間は長くはない。
ボクサー人生の岐路に立たされたといっていい井岡。再びはい上がって来れるのか。