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【都知事選】小池百合子氏〝横綱相撲〟で3選 「やめろコール」であえて演説を中断した理由

東スポWEB 2024年7月8日 6時15分

7日投開票の東京都知事選で小池百合子氏が3期目の当選を決めた。投票箱が閉まる午後8時ちょうどの〝ゼロ打ち〟という余裕ぶり。そんな小池氏は選挙中に2つの〝沈黙〟があった。蓮舫氏からの執拗な批判に反論せず、街頭演説のヤジには言葉を詰まらせる。これらにはどんな狙いがあったのか。

「気を抜くそぶりは一切ない。獅子は兎を狩るにも(全力を尽くす)って言葉があるけど、まさにそう。ピリピリしている」――。選挙戦終盤、小池氏のことをこう評したのは都民ファーストの会幹部だ。

6月12日の都議会最終日に出馬表明という〝後出しじゃんけん〟。同20日の告示日は公務優先ということで街頭演説を見送った。同22、23日の土日は八丈島と奥多摩で街頭演説を行うという〝川上作戦〟で他陣営の意表を突いた。しかし、その後も平日は演説をしていなかった。

ところが、2日火曜日の秋葉原から6日最終日の池袋までは連日、街頭に立った。「最初はこんなに立つつもりではなかったみたい。小池氏が全く手を抜かないから、陣営も引き締まるしかない」(同)

一方で蓮舫氏からは執拗に討論会に出ないことをX(旧ツイッター)や街頭演説で批判されていた。「2期8年、現職の知事に私は挑戦。だからこそ、公開討論会で議論したいのです。なぜ欠席するのでしょう」(7月5日のXから)などと何度も蓮舫氏から指摘されていた。

小池氏はこの件に沈黙していたが、実際はどうなのか。小池陣営関係者は「共同記者会見で蓮舫氏から『テレビ局の討論会やりましょう』という話があったので、われわれもやろうじゃないかと、OKを出したテレビ討論会がありましたが、これは蓮舫氏サイドから『条件が合わない』と断られています。告白されてOKしたら振られたみたいな感じ。ほかにもテレビ局とやり取りしているうちに個別取材になったり、そもそもオファーがないのに『小池が断った番組』と報じられたこともあります」と明かした。

いまいち話がかみ合っていないようだ。「途中で反論しなかったのは蓮舫氏と同じ土俵に乗りたくないから。反応しなくて正解だったと思いますよ」(同)。同じ土俵に乗ればがっぷり四つに組み合うことになりかねない。

もう一つの沈黙は5日のことだ。この日、小池氏は都庁のある新宿駅前で街頭演説を行った。小池氏の演説には小池都政を批判する内容が書かれたプラカードを持った人たちが集まるようになっていた。それらを掲げるだけではなく、大声で批判を叫ぶようにもなっており、現場はカオスになりがちだった。

特にこの日は批判が盛り上がり、〝やめろコール〟に発展。なんと小池氏が言葉に詰まり、演説を中断するまでに追い込まれたのだ。しばし沈黙した小池氏は「江東区の15区の選挙以来、これまでとちょっと違うと思われませんか。民主主義のプラットホームを守って行こうではありませんか。皆さんの普通に持っておられる常識を選挙を通じて訴えて行こうじゃありませんか」と選挙の異変を指摘していた。

この沈黙の瞬間を映した動画はSNSで反小池都政の人たちにより拡散された。「動揺している」「これが民意の叫び」などと小池氏にダメージがあったと指摘する書き込みも多いが…。前出の陣営関係者は「あれは動揺とか狼狽じゃなく、つばさの党の件でわれわれが研究した結果、選挙妨害が成立する条件に『演説を停止せしめる』というのがあるんですね。だから、演説を停止せざるを得ない状況になったら停止にすることにしていました。被害届を検討しています」と話した。つまり、冷静な判断で中断していたのだ。

最後まで横綱相撲だった。

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