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【ロッテ】佐々木朗希 選手間投票でも球宴落選…球団OBが警鐘「MLB移籍がうまくいくわけがない」

東スポWEB 2024年7月9日 5時15分

このままでいいのか。日本野球機構(NPB)は8日に「マイナビオールスターゲーム 2024」(23日=エスコン、24日=神宮)の監督選抜選手を発表。ロッテ・佐々木朗希投手(22)はファン投票、選手間投票に続いてまたも選出されなかった。右上肢コンディショニング不良で6月13日に登録抹消となり、現在も戦線離脱中。それでも「令和の怪物」には今オフのMLB移籍が濃厚視されている。そんな右腕にロッテOBで本紙評論家の得津高宏氏が、警鐘を鳴らした。

【得津高宏・快打一閃】ロッテが強い。8日現在、5連勝中でパ2位の座を堅持するとともに貯金も今季最多タイの9。その勢いもあってか、8日に発表された球宴の監督選抜選手には鈴木、メルセデス、佐藤、岡の4人が初めて選ばれた。すでに選手間投票ではポランコも初選出され、ロッテの球宴出場メンバーは計5人。OBとしては喜ばしいが、複雑な思いも抱いている。17日発表の「プラスワン投票」で選ばれる可能性がまだ残されているとはいえ、ここまで佐々木の名前が挙がっていないことだ。

彼はもう1か月も一軍のマウンドから遠ざかっている。登録抹消は早くも今季2度目。戦列復帰のメドすら立っていない。投げられないのだから、監督推薦に選出されないのは当然かもしれない。だが、我がロッテの若きスターがファン投票、選手間投票でも〝落選〟した事実は、やはり衝撃と受け止めざるを得ない。

単刀直入に言えば、ファン、さらに身内にも嫌われているのだろう。理由は明白だ。チームに貢献しているとは言い難いからである。ここまで今季9試合に登板し、5勝2敗、防御率1・96。確かに数字上では素晴らしい。他の先発陣に比べても勝率7割1分4厘、WHIP0・97、奪三振率10・56は抜きんでた数値だ。

だが、彼は1年間の先発ローテを守り切れない。ここまでプロ入りから課題を克服できておらず、今季も開幕前に公約として掲げていながら、クリアできなかった。これでは戦力として計算しづらく、他の先発陣にもしわ寄せがくる。そう考えれば「迷惑」をかけているとしか言えない。

吉井監督は佐々木が2度目の抹消となった際に「中6日で投げるのはきついということだった。投げる試合がない」と説明していた。こんなひ弱な体質では、彼自身が熱望しているMLB移籍がうまくいくわけがない。中4日ないし、中5日が主流のメジャーでどうやって戦力になれるのか。昨オフに続き、今オフにも彼はポスティングシステムを使ったMLB移籍を球団側に再び直訴するともっぱらだが、仮に認められても、先行きには暗雲が垂れ込めるだろう。

振り返ればMLBへポスティングシステムで移籍した日本人投手の先人たちは、多くが所属球団に貢献して海を渡った。2013年オフに楽天からヤンキースへ移籍した田中将大(現楽天)は同年にNPB記録の開幕24連勝を成し遂げ、チームも日本一になった。大谷翔平(現ドジャース)も二刀流でありながら2年連続で規定投球回に達した15年に投手3冠となり、エンゼルス移籍前年の16年にはパMVPに輝く活躍で、日本ハムを日本シリーズ優勝へと導いた。

昨オフにメジャーリーガーとなった前オリックス・山本由伸(ドジャース)も前DeNA・今永昇太(カブス)も、それぞれエースとして国内で責任を全うしている。入団以来、多額の契約金と年俸をもらい、球団からプロ選手として育成してもらったロッテに対し、佐々木も恩義で応えなければいけない。

完全試合こそ達成したものの主要タイトル獲得歴はほぼなく、ましてや規定投球回未到達。それで「ポスティングさせてくれ」と言うのは筋違いも甚だしい。今オフにポスティングで移籍するとなれば、MLBの「25歳ルール」によってマイナー契約しか許されないことになり、ロッテには譲渡金がほとんど入らない。サイドレターの存在があるのかどうかは知らないが、佐々木が自分の主張だけを押し通す流れだけは避けてもらいたい。

佐々木の周りにいる〝取り巻き〟も、彼を利用することばかり考えてはダメだ。総合的に考えて最低でもあと1、2年はロッテに残り、誰もが認める貢献をしてからメジャーに行く。そうすれば佐々木とロッテはウィンウィンの関係に落着するはずである。(本紙評論家)

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