広島は10日の巨人戦(マツダ)が4回途中に降雨のためノーゲームとなった。4連敗中の踏ん張りどころで、新井貴浩監督(47)はこれまでとは異なる手法を試みていた。
深刻な得点力不足の起爆剤として、指揮官がチョイスしたのはジェイク・シャイナー内野手(28)の昇格だった。開幕2戦目に右手中指を骨折して離脱して以降、二軍でも目立った結果を残せていなかった助っ人をあえて一軍に呼び寄せたのだ。シャイナーが実戦復帰したのは4月下旬。だが、その二軍でも打率1割7分1厘、2本塁打、7打点と苦しみ、昇格候補ですらなかったのが現実だ。
それでも今月に入ってチームが1勝6敗と下降線をたどる中、何らかのカンフル剤が必要と感じたからなのかもしれない。そこは新井監督も認めつつ「何か動かないといけない」と言い「外国人選手というのは、場所が変わって気持ちが上がってくることもある」と説明。これまで二軍からの推薦がなければ、認めていなかった昇格人事を自らの一存で決断したという。
一方で別の見立てもある。そもそも新助っ人のシャイナーはキャンプ前の時点では「4番候補」だった。二軍関係者はそんな経緯も踏まえた上で「下で成績は残せてなくても1回は上でチャンスをあげないと、と思っていたんじゃない? 外国人選手の場合は『ダメ』なら、その年限りとするしかないんだから」と指揮官の〝温情〟が働いた可能性もあると推察する。昨季は3Aで30本塁打、100打点を記録した長距離砲だけに、きっかけさえつかめれば…という思惑だ。
そのシャイナーはこの日「8番・一塁」で即スタメン出場。三邪飛に倒れた2回の1打席も幻となり、指揮官も「1打席じゃ何も言えんわな」と苦笑いで評価を先送りにした。
いずれにせよ、これまでとは異なるアプローチで刺激を注入した新井監督の〝勘ピューター〟は吉と出るのか。