キックボクシングからボクシングに転向したＷＢＡ世界バンタム級７位・那須川天心（２５＝帝拳）のデビュー４戦目１０回戦（２０日、両国国技館）の対戦相手でＷＢＡ同級４位ジョナサン・ロドリゲス（２５＝米国）が１２日、都内の帝拳ジムで練習を公開。ホームレスシェルターに入ったこともある苦労人は、映画「ロッキー」のように巡ってきた大きなチャンスを生かして成功をつかむことに意欲を示した。
前日に来日したばかりだが、「全く不安はない」と順調をアピールしたロドリゲス。謙虚な発言に終始し、天心について「とてもスピードがある。総合的にも優れている」と評しながらも、攻略法などについては具体的には語らなかった。
右の長い強振のパンチが印象的だが、「右は自分の強みだが、複数のいいパンチがある。それ以外の武器は７月２０日にお見せする」と手の内は明かさず。この日披露した練習もシャドーとミット打ちを２ラウンドずつ軽めに行っただけだった。
生い立ちは苦労の連続だ。プエルトリコに生まれたが、学校に通うことも食事も満足にできず、ホームレスシェルターに入ったこともあるという。家族でニューヨークに移住したもののアルコール依存症の父から虐待され、母とともにペンシルベニア州へ転居。そこでボクシングジムに通うようになったが、ジムで泣いたりしているロドリゲスの異変に気づいた現在の父でありトレーナーも務めているインディオ氏に声を掛けられ、生活が安定するようになったという。
ペンシルべニア州にある練習拠点は名作映画「ロッキー」の舞台でボクシングが盛んなフィラデルフィアにほど近いところにある。ロドリゲスも子供のころに「ロッキー」を見て、主人公ロッキー・バルボアのマネをしたという。
映画では世界王者と対戦する大チャンスが巡ってきたロッキーが敗れたものの大健闘を見せるサクセスストーリーが描かれている。今回のロドリゲスも、日本のスター天心と対戦するチャンスに恵まれた。ロッキーのようになりたいかと尋ねると、「もちろんだ」と返答。「それがボクシングのすべて。そうなるにはリスクを負わなければいけない。ベストにならないといけない」と言葉に力を込めた。