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【女医のお部屋】感染者増加の溶連菌の予防&治療法 呼吸器内科医の佐藤留美先生レクチャー

東スポWEB 2024年7月21日 10時36分

連日感染症に関するニュースが耳に入ってくる。その中でも1月ごろから右肩上がりに感染者が増加しているのが溶連菌だ。聞き慣れない病原菌だが、いったい溶連菌とはどういう感染症なのか、呼吸器内科医の佐藤留美先生に教えてもらおう。

――溶連菌について教えてください

佐藤医師(以下、佐藤)病気を招く細菌は日常生活の中でたくさん存在しており、その中に連鎖球菌というものがあります。その連鎖球菌の中に溶血性連鎖球菌というものがあり、これを略して「溶連菌」と言います。例年6~8月と、1~3月の2回流行の山がありました。ただ、今年は3月を過ぎても流行がおさまらず、そのまま6月の流行に突入し、感染者数が減ることはなく、季節性関係なく爆発的に流行しています。

――どういう症状が出ますか

佐藤 通常の風邪症状に似た炎症を引き起こします。咳や痰、のどの痛み、発熱、鼻水が出るなどです。場合によっては、体や手足に発疹が出ることもあります。

――発疹も出るんですね! 溶連菌はどういうふうに感染するんでしょうか

佐藤 溶連菌の感染経路として、接触感染と飛沫感染の2つがあります。例えば、タオルとかコップとかそういうものを媒介にして、菌に触れることで感染が広がる可能性もある。そのため、家族でタオルなどを共有するなどは避けることが感染対策になります。とはいえ、子供はお互いの肌に触れることも多いので、なかなか接触感染を防ぎきれないところもありますね。

――飛沫感染の対策としては、コロナなどと同じでよいのでしょうか

佐藤 そうですね。人混みを避ける、マスクを着用、手洗いうがいを行う、消毒をするなど、コロナで言われている感染対策を継続して行うことが、溶連菌の対策にもなります。

――昔感染していても繰り返しかかりますか

佐藤 基本的に溶連菌は大人でも子供でも誰でも感染する細菌で、過去にかかったことがあるから大丈夫だという病原菌ではありません。特に大人は重症化することもあるので、しっかり感染対策を行ってください。

――治療法が知りたいです

佐藤 基本的にはペニシリン系の抗生物質の飲み薬を使用し、ひどい場合は点滴を行います。もちろん、軽症であれば、ウイルス感染のように、免疫の力で治すことも可能です。そのため、日頃から体力をしっかりつけ、ストレスがあまりないような生活を心がけるということも、重症化を防ぐために非常に大切なポイントです。

☆さとう・るみ 久留米大学医学部卒業。感染症学の研究で医学博士号を取得。内科・呼吸器・感染症・アレルギーの専門医および指導医。感染症やアレルギー疾患の診療経験が豊富で、様々なメディアで発信している。現在は藤崎メディカルクリニックの副院長として地域医療にも取り組んでいる。

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