２６日に開幕するパリ五輪のサッカー女子で、初の金メダルを狙うなでしこジャパンに期待が高まっている。インタビューに応じた日本サッカー協会（ＪＦＡ）の宮本恒靖会長（４７）は、大会中に急成長するラッキーガールの登場を待望した上で、司令塔のＭＦ長谷川唯（２７＝マンチェスター・シティー）のゲームメーク力に注目した。さらにイレブンが池田太監督を「男にする」ために結束していることがアドバンテージになると指摘した。
――パリ五輪が迫ってきた。なでしこジャパンへの期待は
宮本会長（以下宮本）守備は３枚か４枚のどっちのシステムでいくのか。直前までは３枚でやっていましたし、（選手登録）１８人という中、いろいろなポジションをやれる選手を選んだと聞いています。清家（貴子＝ブライトン）や藤野（あおば＝日テレ・ベレーザ）らが、得点を取るキーになってくる。長谷川がしっかりとゲームをつくってくれる。長谷川本人は「前で得点に絡める仕事がしたい」と言っていた。押し込むことができるといいんじゃないかと。楽しみですね。
――なでしこジャパンは今大会のメンバー１８人中１３人が海外組だ
宮本 ＷＥリーグの選手が海外に行くというのは、ファンの皆さんには残念だと思いますが、選手が海外に行き、五輪で活躍することが女子サッカー、そしてＷＥリーグに目が向くきっかけになると期待している。五輪での活躍は起爆剤になる？ 男子も同じ状況ですけど、五輪をきっかけに競技に関心を持つ人が増える、その機会をつくっていくのが重要だと思う。女子はＵ－１５のチームが少なくて、そこで辞める選手も多い。プレーを続けられる環境を我々が整えていきたい。
――２０２３年女子Ｗ杯で得点王になった宮沢ひなた（マンチェスター・ユナイテッド）も、昨年１２月の右足首骨折から４月に復帰した
宮本 彼女の得意な飛び出しとか、スピードを生かしたプレーというのは、相手に対して脅威になると思う。彼女ができるだけ前を向いてプレーできるように、そういうゲームになればいいですね。
――池田監督はどんなタイプか
宮本 非常に熱く選手との関係もいい。Ｕ－２０代表監督時代から一緒にやっている選手も多いので「この監督のために」とか「監督を男にしたい」という気持ちを持っているのは、大きなアドバンテージだと思ってます。
――１２年ロンドン五輪銀メダル以来の表彰台が期待される
宮本 女子は参加チーム数（１２）も少ないですし、１次リーグで３位以内ならば、勝ち上がるチャンスもある。各国も女子の強化に力を入れていて、全てのチームがかなり強くなってきている。もともとフィジカルの強かったチームが、より戦術的なところも伸びてきているとか。スペインもテクニックだけではなくて速さもある。日本はフィジカルも上がっているし、クオリティーを含めて、海外でやっている選手が多いのが、プラスに働くでしょう。
――日本サッカーの悲願である五輪金メダルに向けて、大会中に躍進する〝ラッキーガール〟は出てきそうか
宮本 出てきてほしいですね。谷川（萌々子＝ローゼンゴード）や浜野（まいか＝チェルシー）は、欧州での試合を見ると、強くなっている。浜野はちょっと弱かった印象もあったんですけど、タフなところで厳しい局面に飛び込んでいけたり。本来持っている得点センスのところも見られると思うので、チャンスを生かしてほしいし、楽しみにしている。Ｕ－２０Ｗ杯で活躍した経験もあるので、国際舞台に強い選手になってほしい。
☆みやもと・つねやす １９７７年２月７日生まれ。大阪府出身。９５年にＧ大阪ユースからトップチームに昇格。ザルツブルク（オーストリア）や神戸でもプレーした。日本代表は２０００年に初選出され、７１試合３得点。０２年日韓、０６年ドイツＷ杯に出場。１１年シーズンで現役を引退し、１３年にＦＩＦＡマスターを取得した。１８年７月にＧ大阪の監督に就任。退任後は日本サッカー協会の理事、専務理事を経て２４年３月から会長を務める。１７６センチ、７２キロ。