Infoseek 楽天

【パリ五輪】角田夏実 野獣・松本薫氏も舌を巻く〝寝技無双〟ぶり「上には上がいるなと…」

東スポWEB 2024年7月28日 11時10分

パリ五輪の柔道48キロ(27日=日本時間28日、シャン・ド・マルス・アリーナ)が行われ、初出場の角田夏実(31=SBC湘南美容クリニック)が決勝でバーサンフー・バブードルジ(モンゴル)を下し、金メダルに輝いた。これが日本勢500個目の五輪メダル獲得となった。紆余曲折を経て頂点に立った柔道家の強さを、12年ロンドン五輪57キロ級金メダルの松本薫氏が明かした。

初戦、2回戦は、ともえ投げからの腕ひしぎ十字固めで一本勝ちを収め、準々決勝は、難敵と言われていた地元フランスのシリヌ・ブクリだったが、得意のともえ投げえ投げで1分の一本勝ち。完全アウェーの雰囲気を力でねじふせた。危なげなく勝ち進んだ準決勝では、タラ・バブルファト(スウェーデン)に延長の末に勝利。決勝ではバブードルジに勝って悲願の金メダル。派手なパフォーマンスはなく、畳の上で喜びをかみしめた。

日本勢が同階級を制したのは2004年アテネ五輪の谷亮子以来の快挙。角田は「それも結構言われていて『優勝できたら、それ以来だぞ』と言われてたんですけど、谷さんはすごい存在なので、そこにちょっとでも近づけられるのかという怖さと不安があったんですけど、つなげてよかったです」と声を弾ませた。

前回の東京五輪は52キロ級で出場を目指すも、東京五輪金メダルの阿部詩(パーク24)との代表争いで後退。一時は引退を考えたが、19年秋に48キロ級転向を決断した。21~23年の世界選手権で3連覇を果たし「届かないなと思っていた」という五輪の舞台が現実味を帯びてきた。23年6月に代表内定後も「ここ(五輪の出場)を目標としていたわけじゃない」とモチベーションは不変。世界からのマークを振り切り、表彰台のテッペンを勝ち取った。

そんな角田はサンボや柔術を通して、唯一無二の武器である寝技を強化。世界が恐れる寝技について、松本氏は「本当にすごい。寝技と立ち技は強くなり方が違う。立ち技はイチかバチかのところもあって、投げにいった時にやられてしまうことがあるけど、寝技は絶対ない。決められたら絶対起きれないし、寝技は本当に経験とかけた時間がつくり出すもの」と高く評価する。

さらに技の幅広さも大きな魅力。多くの選手は得意技を1~2個持つケースがほとんど。しかし、角田は万能型との見方だ。松本氏は「角田選手の寝技は本当に強い。関節技、絞め技など何でもできる。一緒に練習していた時は私もいつも逃げていたくらい」と苦笑い。その上で「私も寝技が強い選手だったし、寝技にも結構時間をかけてやっていたので、逃げたことはほとんどないけど、上には上がいるなと…。本当に才能だよね。ともえ投げもほぼ寝技に近いし、柔術の技ですからね」と脱帽した。

誰にも負けない長所を磨き続けた角田は〝野獣〟も逃げ出すほどの強さを遺憾なく発揮して歓喜の瞬間を迎えた。

この記事の関連ニュース