不屈の精神力だ。パリ五輪の柔道男子66キロ級で阿部一二三(26=パーク24)が決勝でウィリアン・リマ(ブラジル)を破り、東京五輪に続いて2大会連続で金メダルを獲得した。
一二三が初戦に臨む前、妹の詩(24=パーク24)が2回戦でまさかの敗退。人目もはばからずに号泣し、関係者に支えられながら引き揚げた。この時点で目標にしてきたきょうだいでの五輪連覇が消滅。一二三も、ショッキングな出来事に動揺してもおかしくない状況だった。
それでも、初戦の2回戦を突破すると、準々決勝では鼻血で治療を2度受けながら勝利。その後も隙を見せずに決勝まで勝ち進み、表彰台の頂点に立った。金メダルを決めた瞬間、観客席から見守っていた詩も感極まって涙をぬぐった。
連覇を果たした一二三は「最高の思い。この3年、東京(五輪)が終わってから、すごい苦しい、しんどい思いばかりで。楽な道ではなかった。あとは今日、妹が負けてしまって僕自身も、すごい苦しい一日になった。妹の分まで、やっぱり兄が頑張らないと、という気持ちで一日頑張りました。苦しかったけど、そこは兄としてやるしかない」と思いを語った。