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【名古屋場所】照ノ富士「相撲場が全国各地にあった方がいい」 悲願V10で角界発展に全力

東スポWEB 2024年7月29日 6時2分

角界の未来も切り開く――。大相撲名古屋場所千秋楽(28日、愛知県体育館)、横綱照ノ富士(32=伊勢ヶ浜)が幕内隆の勝(29=常盤山)との決定戦を寄り切りで下し、3場所ぶり10度目の賜杯を抱いた。かねて目標に掲げてきた2桁優勝を達成し、2場所連続の休場から復活を果たした。照ノ富士には、昨年6月に個人後援会が発足。その背景には、将来の相撲界を危惧する一人横綱の思いがあるという。

満身創痍の横綱が不死鳥のように復活を果たした。照ノ富士は持病の腰痛などの影響で、直近の2場所を途中休場。今場所前も十分な稽古が積めず、不安を抱えたまま初日を迎えた。

しかし、ふたを開けてみれば初日から10連勝。大関陣や夏場所優勝の関脇大の里(二所ノ関)ら上位力士が優勝争いから脱落する中、一人横綱の貫禄を示した。千秋楽の本割で大関琴桜(佐渡ヶ嶽)に3敗目を喫して決定戦にもつれたものの、隆の勝を下して賜杯にたどり着いた。

「(2桁優勝は)目標だったので達成できて良かった。入門してから14年間、毎日目指してきた相撲が今場所、少し完成した実感はある。もっと、そんな相撲が取れるように鍛えていきたい」と充実した表情を浮かべた。

昨年夏場所で8度目の優勝。その後の6月に、後援会が設立された。同後援会の事務局関係者は「もともと(後援会を)つくりたい考えは、照ノ富士関の中で長年あった。(照ノ富士は)今後の相撲界のために後援会の活動を通じて、新弟子が少なくなってきている現状を打破したかった」と照ノ富士の思いを明かした。

2015年夏場所後に、23歳で大関昇進。しかし、その後は両ヒザの故障や内臓疾患などに苦しみ、大関から序二段まで転落した。19年春場所から土俵に復帰して番付を戻すと、ついには番付の頂点まで上り詰めた。

そうした背景もあり、同関係者は「照ノ富士関から『相撲は国技だからスポーツじゃない。伝統とか文化をもっと大事にしていく必要がある』という話を聞いた。これは序二段に落ちて相撲を続けるか続けないか、迷っている時に考えたみたい。現役を続けるなら、もっと日本人の方に相撲を見てもらって、相撲を普及させたい思いがあった」と説明する。

今年4月には照ノ富士と後援会で、神奈川・横浜市の公園に土俵を寄贈。今年度中に完成を予定している。同関係者は「小学生のわんぱく相撲には約3、4万人が参加する。だけど、中学校で相撲を続ける子は500人とかに減ってしまう。中学で相撲を続けるには親御さんと離れて寮に入って、相撲部やクラブに入ったりハードルが高い。横綱はそれがなくせるように、相撲場が全国各地にあった方がいい」と横綱の思いを代弁した。同後援会は、今後も全国に土俵づくりを計画しているという。

今後も第一人者として、土俵の内外で相撲界発展に全力を注いでいく構えだ。

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