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【フェンシング】加納虹輝〝競技普及〟へ有言実行の金メダル! 次なる目標は「団体連覇」で2冠

東スポWEB 2024年7月29日 11時11分

アウェー決戦を制した。パリ五輪のフェンシング個人戦(28日=日本時間29日、グランパレ)、男子エペ決勝は世界ランキング3位の加納虹輝(26=JAL)がヤニク・ボレル(フランス)に15―9で快勝。同種目個人では日本勢初の金メダルとなった。日本フェンシング界に新たな1ページを刻んだ騎士は、競技普及に並々ならぬ意欲を見せている。

加納は2021年東京五輪でエペ団体の一員として、金メダル獲得に貢献。当時のチームの愛称「エペジーーン」で一躍注目を集めた。今大会は「五輪でトップを狙える位置にいる」と個人戦でも躍動。準決勝でティボル・アンドラシュフィ(ハンガリー)を相手に延長戦にもつれる激闘を制すると、決勝も地元フランス選手への大声援をものともしない果敢な戦いぶりで金メダルをつかみ取った。

日本勢でフェンシングの個人種目での表彰台は、08年北京五輪男子フルーレで銀メダルを獲得した太田雄貴以来2人目。金メダルは史上初の快挙だ。愛知県出身の加納は小学6年時、北京五輪で活躍する太田の姿に魅了された。これをきっかけに、車で約1時間かかる名古屋市内のクラブで競技を開始。それから日本の主力選手へと成長し、フェンシング発祥の地であこがれていた大先輩を超えた。

世界の頂点に立った加納は、かねてピスト外でも奮闘。所属先の協力もあり、22年から「加納虹輝杯」を開催するなど、フェンシングの輪を精力的に広げている。所属先の関係者は「自分の成績だけじゃなくて、フェンシングを全国に広める、自分が金メダルを取ることで広めていくんだという意志をすごく感じていた」と印象を語る。

現役バリバリの選手ながら、自身の冠大会だけでなく、さまざまな形での活動を模索中だ。同関係者は「各地での体験教室ではないが、自分が講師になってフェンシング教室をやっていきたいとは常々言っている。小さい子供たちに、まずはフェンシングに興味を持ってもらいたいと。競技の成績以外のところでも目標を持っているんだなと感じる」と証言。常にフェンシングのことを第一に考えて行動してきた。

その上で、結果を残すことがフェンシング界の発展に向けて欠かせないと認識。パリ五輪を迎えるにあたり「五輪に立つことで、多くの方々がフェンシングを見てくれると思う。メダルを取ると印象にも残るだろうし、それを見てフェンシングを始めたいと思う子供たちが増えるのでは。なので、メダルは非常に普及においても大事」ときっぱり。結果にもこだわりを持ってきた中で、最高の勲章を手にした。

有言実行で金メダルに輝いた加納は「本当に、感極まります。東京の後、団体だけでなく個人戦でも金メダルを取りたいとずっと言っていたので。それを実行することができて本当にうれしく思います」と笑顔で喜びをかみしめた。

次なる戦いは、日本として連覇がかかる団体だ。「個人、団体で金メダル」を目標に掲げる加納は気合十分。2冠を達成し、さらにフェンシングをメジャー競技へと押し上げる。

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