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【体操】岡慎之助が笑顔の2冠!ニューヒーローはアニメ好き、潜在能力は「フェラーリ」

東スポWEB 2024年8月1日 7時1分

【フランス・パリ31日(日本時間8月1日)発】体操界に超新星が現れた。パリ五輪の男子個人総合決勝(ベルシー・アリーナ)が行われ、岡慎之助(20=徳洲会)が86・832点で金メダルを獲得。団体総合との2冠に輝いた。橋本大輝(22=セントラルスポーツ)への負けん気をのぞかせていた若武者が、大一番でエースを撃破。そのニューヒーローの素顔に迫った。

得点が電光掲示板に表示されると、自然と笑顔があふれ出た。東京五輪王者の橋本があん馬で、予選1位通過の張博恒(中国)が床運動で失敗。波乱の展開でも安定感抜群の演技で高得点を重ね、首位で迎えた最終種目の鉄棒も大きなミスなくまとめた。2連覇の内村航平、橋本に続いて日本勢4連覇を成し遂げ「目標にしていた団体と個人の2冠が達成できてうれしい」と声を弾ませた。

所属先の米田功監督が高級車の「フェラーリ」と評する潜在能力を持つ岡は、2019年世界ジュニア選手権の団体総合と個人総合で金メダルを手にした。次世代をけん引する存在と期待されたものの、22年全日本個人総合選手権で右ヒザの前十字靱帯を断裂。陸上トレーニングはもちろん、水泳なども取り入れながら長期間のリハビリを耐え抜いた。「本当にケガを乗り越えてきてよかった。感謝を込めて演技をした」としみじみ振り返った。

岡山県生まれの岡は4歳から競技を始め、中学卒業後から現所属先で社会人の選手たちと活動。体操一筋の生活を送っており、星槎国際横浜高時代の同級生は「岡くんは練習や試合があるので、文化祭などの行事は参加できていなかった」と振り返る。青春ならではの思い出を削ってでも、自身の競技力向上に時間を費やした。

星槎国際横浜高では、フィギュアスケート男子で北京五輪銀メダルの鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)と同級生だった。岡よりひと足先に五輪の舞台で活躍する友人の姿には「自分も優真みたいにならなきゃ」と刺激を受けた半面、お互いに競技を離れれば普通の男子高校生だった。別の同級生は「岡くんは数学が苦手だったので、鍵山くんに数学を教えてもらっていた。あとはアニメも見ていたみたいで、当時だと『僕のヒーローアカデミア』や『鬼滅の刃』とかのシーンについて『かっこよくない?』とか話していましたね」とアニメ好きの一面を明かした。

かつての岡は自身を「緊張しい性格」と分析。この日の試合は「すごい緊張していた」としながらも「その緊張をかみしめながら楽しんできた」。堂々たるパフォーマンスには6位だった橋本も「慎之助選手がこの3年間、誰よりも悔しい、苦しい経験をしてきた。ケガをしても五輪チャンピオンになれるというところは、次の世代にもいい影響を与えると思う」と太鼓判を押した。

名前は父・泰正氏が、プロ野球巨人で活躍した阿部慎之助捕手(現監督)から命名。「スーパースターになってほしい」との願いが込められている。20年の月日を経て、自らもスパースターとなった岡は「チャレンジ精神だけは忘れずに。でもやっぱり(内村)航平さんのように勝ち続けられるように頑張っていきたい」と決意表明。偉大な先輩たちに負けじと、自らの力で新たな道を切り開いていく。

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