Infoseek 楽天

【巨人】SNSでのアスリート誹謗中傷 〝被害者〟高梨雄平が激白「便所の落書きみたいなもの」

東スポWEB 2024年8月1日 11時10分

熱闘が続くパリ五輪でアスリートに対する誹謗中傷が大きな問題となっている。2021年の東京五輪でも社会問題となったが、昨今のプロ野球界でも日本野球機構(NPB)や各球団が声明を発表するなど、スポーツ界全体の懸案となっている。無責任な攻撃はどのような影響をもたらし、当事者たちはどう捉えるのか。昨季のシーズン中に“被害”に遭った巨人の現役選手が激白した。

心ない言葉が選手を追い詰めている。柔道女子52キロ級でまさかの2回戦敗退を喫し、号泣して退場が遅れた阿部詩(24=パーク24)に対してSNSやネット上で中傷する声が集中。また、競歩混合リレーに専念するため、個人種目の女子20キロ競歩を辞退した柳井綾音(20=立命館大)も自身のSNSを通じて「たくさんの方からの厳しい言葉に傷ついた。試合前は余計神経質になり、繊細な心になる。批判は選手を傷つける。このようなことが少しでも減ってほしい」と投稿する事態となった。

3年前の東京五輪でも多くの選手が傷つけられたが、アスリートに対する誹謗中傷は五輪だけではない。プロ野球・巨人の高梨雄平投手(32)は昨年7月2日の阪神戦(東京ドーム)で阪神の近本に死球を与えて骨折させてしまい、自身のSNSが炎上。過剰に反応した一部のファンからはプレーに関係ない家族に対する殺害予告まで放たれるほどの異常事態だった。

明らかに度を越えた状況について、高梨本人は「誹謗中傷を受けたことでプレーに悪影響が出たりとかそういうことはなかったし、直後はむしろパワーになった」と振り返った一方で「自分に警備が付いたり、チームと別便で移動したりとイレギュラーな生活になりました。対応していただいた周囲の方に余計な手を煩わせてしまったので申し訳ない、という気持ちが強かったです」。実生活にも大きな影響が生じていたという。

騒動から1年以上がたったが、その間には興味本位で誹謗中傷するアカウントをくまなく確認して回り、普段の投稿内容などをチェックしたという。その結果、一つの特徴として「そういう人は自分の正義感のようなものを投稿することで『気持ちいい』という感覚に陥っているんだと思います」との推論も立てた。さらには「その感情自体は決して悪いものではないと思いますが、アウトプットの方法が誹謗中傷という形になっているのは人としてかわいそうだな、と捉えています」と明かした。

当然、誹謗中傷はあってはならない行為だが、高梨自身は「完全になくすことは不可能」と言い切る。その理由について「人間から負の感情って消せないじゃないですか。野球界のトップを走る大谷君にすらアンチがいるわけで誰にも止めることはできない。だから(誹謗中傷を)したい人はすればいいし、だけど一線を越えればこちらもしかるべき措置をとるし『さらされるリスクもあるよ』ってだけだと思うんです」と語った。

過程を経て、自らのSNSの捉え方、使い方も固まった。

「自分への批判的な目は成長に必要不可欠ですし、否定的な声に耳を傾けることは重要なことだと考えているんですが、それはSNSではなくリアルな環境で十分だと気付きました。(誹謗中傷は)便所の落書きみたいなものと思っているので仲間やチームに対しての誹謗中傷など、不快な投稿が目に入ったら自分宛てのものでなくても『あなたは不快な人間ですよ』と伝える意味を込めてブロックするようにしています」

SNSの使い方は人それぞれではあるものの、無責任に投げかけた言葉が時に受け手、送り手ともに生活環境やその後の人生を大きく変えてしまうということは間違いない。

この記事の関連ニュース