パリ五輪のボクシング女子で起きた性別を巡る騒動が世界規模となっている。
1日に行われたボクシング女子66キロ級2回戦でイタリアのアンジェラ・カリニとアルジェリアのイマネ・ヘリフが対戦。カリニが試合開始46秒で棄権した。カリニは「自分のために『ストップ』と言った。自分の命を守らなければならなかった」と語っていた。
何が騒動となっているのか。実は勝者のヘリフは女性として生まれたが、男性のXY染色体を持つ性分化疾患だとされ、昨年の世界選手権では性別適格性検査に合格できていなかった。女性だがパワーが男性に近いという。
日本でも著名人がこの件に言及しているが、海外でも議論となっている。カリニの母国イタリアのメローニ首相は「男性の遺伝的特徴を持つ選手が女子種目に参加すべきではない。対等に戦えることが重要だ」と主張。一方、IOCサイドは「パスポート上は女性なので問題ない」としている。
ハリー・ポッターシリーズの原作者であるJ・K・ローリング氏も言及。Ⅹ(旧ツイッター)で「これはスポーツではない」と憤った。
また、棄権したカリニに救いの手を差し伸べているのが米国のユーチューバーでプロボクサーのジェイク・ポールだ。ポールは11月にマイク・タイソンと試合をする予定となっている。
ポールはXでカリニとヘリフの試合を「吐き気がする」「危険で間違っている」と指摘。さらに、カリニ宛てに投稿し、「カリニへ。私はあなたに前座試合で戦ってもらいたい。男性相手ではなく公平な舞台で才能を世界に見せてほしい」とオファーをした。場所はポールが主宰するボクシング興行を予定している。
カリニへの同情が世界から寄せられている一方、課題もある。「ヘリフ選手はルールに則って出場しており、彼女を責めるのは違う。こうした議論から新たなルール作りが進むかもしれません」(日本のジャーナリスト)。果たしてどうなるか。