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【卓球】「何も左手が使えない…」早田ひなに起きた奇跡 最後は左手に感謝「頑張った」

東スポWEB 2024年8月3日 23時50分

【フランス・パリ3日発】〝奇跡の〟表彰台だ――。パリ五輪の卓球女子シングルス3位決定戦(パリ南アリーナ)が行われ、早田ひな(日本生命)が申裕斌(韓国)を4―2で下して銅メダルを獲得。東京五輪銅メダルの伊藤美誠(スターツ)に続き、日本勢が2大会連続で同種目の表彰台に立った。まさかのアクシデントに見舞われながらも、エースのプライドを証明した。

「何かの行動が悪かったから神様に意地悪されたのかな」

1日の準々決勝時に左腕を痛めた早田は、2日の準決勝は孫穎莎(中国)に完敗。この日の3位決定戦に向けて、超音波治療などを朝から実施するも、厳しい状況が続いた。「ケガをした時は部屋に戻っても1人でお風呂も入れない、何も左手が使えない、ドライヤーとかもできない状況だった」。メダルを懸けた争いに出場するのは困難な状況だったものの、試合直前に風向きが変わった。

「あれ?行けるかも」

テーピングは巻いた状態とはいえ、大一番に挑むメドは立った。

第1ゲームは9―11で落とすも、第2ゲームはジュースの末に13―11で奪取。「まだまだ自分の感覚も戻ってきていない。試行錯誤の状況だった」

感覚が戻り切る前に試合を振り出しに戻し、流れを引き寄せた。第3ゲーム以降は早田のペースで試合を展開。第6ゲームに最後の得点を決めると、大粒の涙があふれ出た。石田大輔コーチと抱き合い、喜びを分かち合った。「準々決勝の後は朝4時までケアしてもらったりとか、みなさんができることを全てやってくれて、ここまで戻ってくることができた。この状況での銅メダルは金メダルを取るよりも価値のある銅メダルだと思う」と声を詰まらせた。

4歳から石田卓球クラブ(現石田卓球N+)で競技をスタート。「女先生」こと石田千栄子さんから教わった「フォアドライブ」が早田を支えた。バックハンドは制限がかかった状況だったというが「神様が意地悪したけど、大事なフォアドライブだけは残してくれていた」。20年間の卓球人生で積み重ねてきた武器が銅メダルへの扉を引き寄せた。

「左手に頑張ったと言った。左手にいろんな人の思いがつまっていた。いろんな人のパワーが力が変わって最後に決めきることができた」

黄金世代で同級生の伊藤、平野美宇(木下グループ)はひと足早く世界の舞台で活躍。心が折れそうな場面でも、地道な鍛錬が大きな花を咲かせた。

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