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【陸上】サニブラウン 0・03秒差で準決敗退…募る危機感「悠長なことを言っている暇はない」

東スポWEB 2024年8月5日 7時15分

世界の壁は厚かった。パリ五輪の陸上男子100メートル準決勝(4日=日本時間5日、フランス競技場)が行われ、世界選手権2大会連続入賞のサニブラウン・ハキーム(25=東レ)は9秒96で3組4位。1932年ロサンゼルス五輪で6位入賞を果たした「暁の超特急」こと吉岡隆徳氏以来、日本人92年ぶりの決勝進出はならなかった。自己ベストをマークした一方で、自身の走りには不満顔。リベンジへ向けて決意を新たにした。

世界連盟の公式Xによると、五輪で9秒台を出しながら準決勝敗退に終わった選手が出たのは今回が初めて。12選手が9秒台をマークしたハイレベルな準決勝だった。サニブラウンは好スタートを切るも、中盤以降に追い上げられ、世界トップクラスの選手らに及ばなかった。決勝行きのチケットまで0・03秒まで迫ったスプリンターは「いや、マジで足りないです。もっと行けたなと思う。走りの部分でしっかりまとめられなかった。80メートルぐらいまで動きは良かったけど、そこからちょっとテンポが停滞してしまった」と顔をしかめた。

2022、23年世界選手権では決勝の舞台を経験するなど、着実に階段を駆け上がってきた。パリ五輪の目標は「メダルラインに食い込みたい」と語っていたが「五輪は(世界選手権と)全く違う。身に染みて感じたし、ここでメダルを取る選手がいかにすごいのかを、自分が出場したことによって感じた部分が大きい。レベルが全然違う」と率直な思いを吐露する。

さらに大一番で結果を残すライバルとの差も痛感し「ここまで来たら速さもあるとは思うが、強い選手が上がっていく。持ちタイムが良くても悪くても、自分の走りができる選手が勝っていく。そういう選手になれるようにもっともっと磨き上げないといけない」と自らに言い聞かせるように話した。

シニアの舞台では15年世界選手権を皮切りに、約10年間戦ってきた。日本陸上界の歴史に新たなページを刻んできた中で、年齢は20代中盤を迎えた。「一年一年、前進はしているが、悠長なことを言っている暇はない。ここからどれぐらい自分の競技人生が長いかもわからない。自分が前進していても、他の海外の選手たちはもっともっと前進している。その差を縮めるためにもっともっと頑張っていかないといけない」と危機感を口にした。

来年には東京で世界選手権が開催される。21年東京五輪は腰痛の影響もあり、200メートルのみに出場して予選敗退だった。「東京で走る機会がまた来るとは思っていなかった。国立競技場を満員にしたい。この悔しさを胸に、来年はもっともっといい結果、もっといい走りをして、笑って終われたら」。メダルへの挑戦はまだ道半ば。日本のエースは世界の壁を打ち破ることができるか。

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