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女湯にはお魚タイル絵 銭湯の休憩スペースがクラファンでレトロ喫茶リニューアル!

東スポWEB 2024年8月5日 20時45分

【今日もひとりで謎喫茶「十條湯/喫茶深海」】

お疲れさまです。最近湯船につかると、文字通り全身から力が抜けるようになった東スポぼっち記者です。ユニークな喫茶店やカフェスペースのあるお店を紹介する企画「今日もひとりで謎喫茶」、今回は銭湯と喫茶店が併せて楽しめる「十條湯/喫茶深海」さんを取材しました!

今回訪問したのは銭湯・サウナを提供する「十條湯」、そして「喫茶深海」さんです。JR十条駅から徒歩5分ほどにあるこちらのお店は、何と銭湯と喫茶店が併設されているという珍しい場所。入店するやいなや、喫茶店のエントランスと男湯・女湯ののれんが併設されるという、少し不思議な空間が広がっていました。

戦後すぐに区営浴場という出自からスタートしたという十條湯さん。現在も天井の高い開放的な浴場と、日替わりでさまざまな香りが楽しめるサウナが大きな魅力です。特にサウナは、地下水を利用した水風呂と併せて愛好家の方にも人気を博しているのだとか。脱衣所から階段で上がった先には、“ととのう”ための休憩用スペースも用意されていますよ。それにしてもさまざまな「謎喫茶」を訪問しましたが、まさか銭湯に足を運ぶことになるとは思いませんでした。時間があればゆっくりと湯船につかりたかったものです…。

そんな十條湯さんに喫茶が新設されたのは1988年の12月。改装の際に休憩スペースを有効活用するため、「喫茶SPA」という名前でスタートしたのだといいます。女将の横山昭子さんはオープン前に、コーヒーを学ぶために専門学校に通ったとのこと。それだけの強いこだわりは、喫茶スペースの本格的な内装からも感じられました。現在もコーヒーは1杯1杯ドリップして提供中。加えて女将特製のケーキも定番メニューの一つとなっています。そして社長の横山宗晴さんには、ビールとオレンジを使ったフレッシュジュースも開始時の人気商品だったと教えていただきました。確かにお風呂上がりのビール、ジュースはたまりませんね。

今現在もレトロで粋な雰囲気が漂うお店ですが、宗晴さんの入院や時代の変化などが影響して、客足が遠のいてしまった時期もあったそう。そんな中、昔ながらの銭湯を残したいという方が名乗りを上げ、クラウドファンディングを敢行。無事そちらが成功し、2021年に大きなリニューアルが行われました。喫茶スペースも女湯の壁に描かれている魚のタイル絵から着想して、「喫茶深海」とガラリと名前を変えました。従来のメニューに加えて、色鮮やかな「十條湯クリームソーダ」や、透き通ったブルーがさわやかな「深海ゼリー」といった、流行に合わせたフードメニューを追加したといいます。アルバイトの学生さんにもポップを作ってもらい、若い世代の意見も取り入れた結果、喫茶を目的として来店される方が増えたとのこと。SNS映えするクリームソーダを販売した当初は、大きなカメラを持ち込んでひたすら撮影に徹する方もいたそうです。喫茶側としてはアイスが溶けてしまいそうでヒヤヒヤしたと聞いていますので、くれぐれも“見とれ過ぎ”にはご注意くださいね。

私も当日は期間限定の「紫陽花クリームソーダ」、そして「レアチーズケーキ」をいただきました。紫色に輝くソーダはさわやかな飲み心地。猛暑日が続いて疲弊しきっている体に、するするとしみわたっていきました。個人的にはアイスの上に金平糖がちりばめられていた点もうれしかったですね。そしてレアチーズもまろやかな甘さがしみる一品。新たなファンを獲得している一方で、長年地元の方に愛されてきた歴史あるお店であることを、強く感じることができました。

現在は撮影依頼が入ることもあり、喫茶の側面が大きく注目されていますが、やはりお風呂も楽しんでいただきたいというのが社長、女将さんの本心だといいます。特に「地域の人々が通う銭湯」としての十條湯を大事にしたいということは皆さんの総意なのだとか。取材で女将さんは、喫茶を“入り口”に、若い方にも銭湯に触れてほしいと願っていらっしゃいました。一見風変わりにも思われる喫茶と銭湯の組み合わせは、銭湯文化をつないでいくためのチャレンジでもあったわけですね。

「十條湯/喫茶深海」さんは、癒やしとこだわり、そして歴史が詰まった“謎喫茶”でした。次に十条を訪れた際には、絶対に着替えを持って伺います!

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