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阿鼻叫喚の「株価暴落」は岸田政権の大失策 株式アナリスト・山本伸氏は〝7・11ショック〟と指摘

東スポWEB 2024年8月6日 5時18分

岸田政権の大失策となってしまった。日経平均株価は5日終値で、前週末比4451円安の3万1458円となり、1987年のブラックマンデー翌日を超える過去最大の下げ幅を記録した。「資産所得倍増」を掲げた岸田文雄首相の看板政策はもろくも崩れ去り、投資家の怒りの矛先が向けられている。

2日に2216円の下落で、阿鼻叫喚となっていた株式市場は週明けの5日にさらに拡大した。下げ幅4451円はブラックマンデー翌日の3836円を上回った。為替もドル円は午後3時過ぎに141円まで円高が進み、こちらも今年7月3日に年初来高値の161円から20円も動いたことになる。信用取引組は追証(追加保証金)発生で、一気に地獄に転落する人が続出している。

岸田政権は2022年5月に「資産所得倍増計画」を打ち出し、当時2万7000円台だった株価は昨年から上がり始め、今年7月11日には過去最高値となる4万2224円をつけた。ところが以後、下降線をたどり、この日で1万766円も下げ、東証の時価総額でいえば、200兆円近くが1か月で失われたことになる。

株式アナリストの山本伸氏は歴史的な株安背景をこう指摘する。「岸田政権の『資産所得倍増計画』では、PBR(株価純資産倍率)1倍割れ解消の東証改革や新NISAの導入を行った。これは円安&超低金利での円キャリートレードでメインだったが、その前提条件が崩れたことで、ヘッジファンドや投資ファンドがみんな投げ捨てする事態になった」

転機は最高値をつけた7月11日だという。政府、日銀は行き過ぎた円安を警戒し、11~12日に大規模な円買いドル売りの為替介入に踏み切った。

山本氏は「今回の下げを私は〝7・11ショック〟とみている。政府、日銀が為替介入した直後にトランプ氏の銃撃事件が起き、トランプリスクが1か月前倒しになった中で、日銀は市場が予想していなかった利上げに踏み切り、円高に転換した。円安、企業業績回復、株高がこのまま続くという投資家の幻想は打ち砕かれ、見限られたともいえる。さらにブラックアウトといって、決算発表終了まで自社株買いができない期間でもあり、売られても買いが入らない。岸田政権はここまで株価が崩壊するとは想定していなかったはず」と指摘し、政府の失策を追及する。

一方、ネット上で〝神〟扱いされているのは経済アナリストの森永卓郎氏だ。かねて新型NISAを勧める政府の姿勢やバブル相場に警鐘を鳴らしていたが、的中した形となった。

5日、ニッポン放送の「垣花正あなたとハッピー!」に出演した森永氏は、「今すぐ(持ち株は)全部売れと言い続けてきた。世界の景気が落ち込み、悪化する方向に動いている。米英が金利を下げる中で、日本だけが逆噴射し、利上げで首を絞めにいった。(主導した)岸田、河野(太郎デジタル相)、茂木(敏充幹事長)は3大悪人。岸田首相は貯蓄から投資へと新NISAを使って、一種の投資詐欺だと思っている」とぶった切った。

森永氏は今後、1ドル=90円、株式バブルのさらなる崩壊を予想し、日本経済の立て直しには時間がかかるとも指摘した。山本氏は「円高が止まらないと輸出関連企業の業績不安が増し、不安定要素になってくる。海外勢は本格的に日本の〝失われた30年〟が終わって、成長路線に戻ると期待していた部分もあったのにデフレ逆戻りの可能性すらもある」としばらくは見極めの局面とみる。

資産形成のために新NISAを始めた新規投資組にとっては初めての急下降をたどる〝ナイアガラチャート〟に、卒倒した人も多い。山本氏は「新NISAは長期投資で、短期でやるのではないので、じっくりと待つのが基本。現物の人は戻るチャンスがあるが、信用の人はバクチだから仕方がない」と投資にリスクは伴うとあって、慌てないことが肝要だとした。

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