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【バレーボール】石川祐希に集中した重圧、生じてしまった一瞬の隙 8強敗退は必然なのか…緊急検証

東スポWEB 2024年8月6日 5時18分

パリ五輪のバレーボール男子準々決勝(5日、パリ南アリーナ)が行われ、1次リーグC組3位の日本は同B組1位のイタリアに2―3で痛恨の逆転負け。4度のマッチポイントで決め切ることができず、1976年モントリオール五輪以来、48年ぶりの4強入りを逃した。チームが目指していた金メダルの夢は、なぜ霧散してしまったのか。日本敗退の要因を緊急検証した。

勝敗を決するボールが日本のコートに落ちると、会場の「ニッポンコール」が悲鳴に変わった。負ければ終わりの一戦で、日本は1次リーグで不調だった主将の石川祐希(28=ペルージャ)が大爆発。第1、2セットを連取して勝利に王手をかけた。しかし、第3、4、5セットを立て続けに奪われて終戦。石川は「ここからは負けたら終わり。やるしかないという気持ちを持って臨んだが、最後は取り切れなかった」と唇をかんだ。

試合の勝敗を大きく分けたのは第3セットだった。日本がリードした展開で進み、24―21とマッチポイントを握ったものの、最後の1点が遠い。24―22の場面で石川が放ったスパイクは相手ブロックの手をかすめたようにも見えたが、チャレンジの末にノータッチと判定された。「最後自分が決め切れなくて申し訳ない気持ち。決められなかった僕の責任だし、決められていれば、このような結果にはなっていない」と肩を落とした。

2021年から主将に就任し、コート内でチームをけん引。強いリーダーシップを発揮してきた一方で、石川にかかる責任や重圧の大きさに対する懸念もあった。山内晶大(大阪ブルテオン)は、かつて取材に対し「石川選手は自分のことも考えないといけない、チームのことも考えないといけない、キャプテンとしても立ち振る舞わないといけないので、ストレスがかかる部分が多い」と指摘していた。

その上で「石川選手の負担が少しでも軽減できるような形でサポートしていけたら」と語っていたが、今大会でも石川の出来が日本の勝敗に直結した。1次リーグは石川の調子が上がらず、チームも苦戦。良くも悪くも石川頼みのチームは、その他の打開策を見いだせなかった。

一瞬の気の緩みもイタリアに流れを渡した要因だった。第3セットは、あと1点を取ればベスト4行きが決まる優位な状況。高橋藍(サントリー)は「チーム全体がいけると感じた。やっぱりそこで隙ができてしまった部分はある」と振り返った。最後まで何が起きるかわからないのが勝負の世界。22年の世界選手権覇者へ見せた〝油断〟が悲劇の始まりとなった。

目前に迫った「勝利」への欲求が選手たちから平常心を奪った。高橋は「自分たちに勝ち切る力がなかった。結果が全てなので、自分たちが強くならないといけない。そこで勝ち切る力をつけていかないといけない」。花の都で味わった悔しさを、28年ロサンゼルス五輪での飛躍につなげることはできるか。

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