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【ブレイキン】初代女王AMI 五輪挑戦前に抱いた〝葛藤〟「ブレイキンの良さがなくなってしまうのでは…」

東スポWEB 2024年8月10日 8時4分

パリ五輪のブレイキン女子(9日=日本時間10日、コンコルド広場)決勝で、湯浅亜実(25=ダンサー名・AMI)がリトアニアのドミニカ・バネビッチ(17=ダンサー名・NICKA)を3―0で下して、金メダルを獲得。今大会唯一の新競技で初代女王の座を勝ち取った。ブレイキンの正式採用で抱えたスポーツとカルチャーの〝葛藤〟を乗り越え、自身の理想を貪欲に追求した結果だ。

最後までキレ味抜群だった。この日6試合目となった決勝も、華麗なステップや強弱をつけたパワームーブなどで会場を魅了。かねて長丁場を意識した練習で培った体力を武器に、他選手を圧倒した。演技後には「いかに自分らしさを出せるかを考えてきた。プレッシャーは全然感じずに、自分らしさを出せた」と声を弾ませた。

小学校5年時にブレイキンを始めると、日本ダンススポーツ連盟ブレイキン本部長の石川勝之氏(ダンサー名・KATSU ONE)による指導のもとで頭角を現した。国内外の大会で好成績を残す中、2020年12月にパリ五輪でブレイキンの採用が決定。AMIは当初「ブレイキンはカルチャーであり、アートだからスポーツになるものではないと思っていた。ブレイキンの良さがなくなってしまうのでは」と不安を感じたという。

そうした葛藤の中、尊敬の念を抱く石川氏が尽力する姿に「間違った方向には行かないだろうなと。ブレイキンの本質を大事にしていくんだなと思ったので、挑戦してみよう」と新たな一歩を踏み出した。

AMIはブレイキンに励む上で脚の角度、手の位置など、自分が「かっこいい」と思うポイントを日ごろから研究。審査員の評価を必要以上に気にすることもあったが「どんなステージでも自分がやることを変えなければいいと気づいた。自分のスタイルが評価されたらうれしいけど、逆に評価されなくてもいい。ダンススポーツになったから自分のスタイルを変えるわけじゃない。自分のスタイルを見せられる場所が増えたのなら挑戦し続けよう」と、カルチャーからスポーツへの〝変化〟にもブレずに鍛錬を積んできた。

AMIには「かっこいい」に込めたこだわりがある。「昔、KATSU ONEさんに『Bボーイ、Bガールはいつ写真を撮られてもかっこよくいるんだよ』と言われた。少しでもその姿に近づけるようにと意識している。自分もかっこいいと思われるBガールになりたいし、そういうBガールが好き」と目を輝かせる。ランニングでストレスを発散することもある元気印は、これからも「かっこいい」ダンスを世の中に伝えていく。

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