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【レスリング】元木咲良が堂々の金!「あの咲良が…」人見知りで棄権ばかりの少女が大変身

東スポWEB 2024年8月11日 5時49分

パリ五輪レスリング女子62キロ級決勝(10日=日本時間11日)で、元木咲良(育英大助手)は東京五輪銅メダリストのイリーナ・コリャデンコ(ウクライナ)をテクニカルスペリオリティーで下し、金メダルを獲得した。

武器のローシングル(低く飛び込んで足首を取る)がさく裂した。大1ピリオドは先に1ポイントを許したが、その後ローシングルからアンクルホールドを決め、4―1で逆転。第2ピリオドには、時計の故障で試合が中断するハプニングがあったが、動じることなく再びローシングルでポイントを重ねた。

「ずっと1年間負けてきて、今日までケガや敗戦を乗り越えるため、いろんな人の力を借りて支えてもらった。金メダルが取れてうれしい」と語った。前日の準決勝では、ピンチをしのぎ大逆転勝ち。「昨日は自分に負けたようになってしまい、神様が助けてくれたので、もうここで逃したら2度とチャンスはないと思って頑張った」と涙を拭きながら思いを吐露した。

シドニー五輪グレコローマン代表の康年さんを父に持つ。康年さんは「いつか五輪に出てほしいと、生まれた時から思っていました。『いつからプロテインを飲ませようかな』なんて考えて。でも、計画はすぐ頓挫しました」と振り返る。

3歳からレスリングを始めたが、極度の人見知りで競技になじめず。出場料を支払い、朝5時に起きて弁当を作り、隣県での大会に連れていっても「怖い!」と逃げてしまう。

「3、4試合すべて棄権ですよ。妻と『やめようか』と話したこともありました」(康年さん)。当時を知る関係者は口を揃えて「あの咲良が五輪に出るの!?」と驚くほどだ。

それでも地道に練習を続けると、負けはしても次第に試合が成立するように。本来の生真面目さも役立って競技にのめり込み、成長を遂げた。

レスリングでは内に秘めた闘志を燃やす負けず嫌いだが、普段は心優しい女性だ。大会前、パリ五輪後にしたいことを問われると「今は自分のことで精いっぱいなので、大学の後輩に教えてあげたいな、と。勝てない気持ちが分かるので勝たせてあげたい」と後輩のことを真っ先に口にする。

この日も「いままでたくさんの人に支えてもらって、誰が欠けても今の自分はいない。感謝したい」と他者への感謝を口にした元木。強くて優しい世界一のレスラーが誕生した。

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