パリ五輪が11日(日本時間12日)に閉幕。閉会式のアルジェリア選手団では、ボクシング女子66キロ級で性別騒動の渦中で金メダルを獲得したイマネ・ヘリフ(25)が、旗手を務めると発表された。
世界ボクシング協会(IBA)が昨年の世界選手権の性別適合検査で基準値に達せず、失格としていたが、国際オリンピック委員会(IOC)はパリ五輪に向けてパスポートの性別が女性であることから出場を容認。ヘリフと2回戦で戦ったイタリアのカリニは強烈なパンチをもらってすぐに棄権したこともあって、出場の是非をめぐって世界的な大論争となっていた。
一方で、ヘリフはSNS上などで誹謗中傷にさらされた。フランス大手紙「ル・モンド」によると、決勝(9日)の数時間にパリ刑事裁判所に告訴状を提出していた。オンラインでの「モラルハラスメント」行為で不特定多数を対象とし、ヘリフの弁護士ナビル・ボウディ氏は訴状の中で「悪意ある人々によって維持された臆測」と非難している。
ヘリフは金メダル獲得後、「私は攻撃や激しいキャンペーンにさらされたが、これが私にできる最善の対応。答えは常にリングの中にあった」とコメントしている。「ル・モンド」も「彼女の参加が何の論争も引き起こさなかった東京五輪から3年後、イマネ・ヘリフは論争を背景に、保守派と極右派が主導する、ジェンダーに関する論争の中心にいることに気づいた」と報じていた。