第106回全国高校野球選手権大会の第6日(12日)第1試合に登場した3年ぶり23度目出場の熊本工は1―2で広陵(広島)に逆転負けを喫した。
堂々たる投げ合いだった。2年生エース・山本凌雅は自慢の制球力で相手打線に的を絞らせない。直球と変化球を巧みに操り、打たせて取る投球で凡打の山を築いた。1点リードした7回に一死二、三塁から右翼へ2点適時打を浴びて逆転されたが、9回途中に降板するまで広陵打線を苦しめた。
打線は広陵の高尾(3年)、只石(3年)のプロ注目バッテリーをなかなか攻略できずにいたが、1点を追う9回に失策と安打などで一死二、三塁と一打サヨナラの好機を演出。しかし、最後は山口悠(1年)、代打の山口光(3年)が連続三振に倒れ、5年ぶりの聖地での勝利とはならなかった。
田島圭介監督は「非常に1点が遠かった。なんとか甘い球を捉えようと対策は練ったが、塁に出ても簡単に送りバントもさせてもらえないような(相手)バッテリーに本当に脱帽ですね」と相手を褒めるしかなかった。
県予選で背番号1を付けた広永(3年)が予選で負傷。そこから山本の目の色も変わり「戦う目になった」(田島監督)と1試合ごとに成長する姿を頼もしげに評した。
指揮官は「高尾君という全国を代表する投手を見られたので、刺激を受けながら追いつき追い越すようなことを、また今日からしっかり取り組んでくれると思います」と2年生エースの今後に期待をかけ、聖地を去った。