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甲子園〝完全ナイター開催〟が現実になる日 2部制導入も熱中症対策どうなる

東スポWEB 2024年8月13日 11時38分

【赤ペン! 赤坂英一】高校野球の「夏の甲子園」で、今年は猛暑対策として午前と夕方に分けて試合を行う2部制が導入された。5回終了時に水分補給のための休憩を取るクーリングタイムも去年から継続している。

2部制は7~9日の3日間、朝から1~2試合、夕方から2試合を実施。が、神戸市の最高気温が34・2度に達した7日、大会本部の発表によると、夕方からの2試合で選手3人の足がつった。また観客13人が熱中症となり、急きょ救護室で手当てを受けたという。

10日からは従来の1日4試合制に戻り、チケットは完売。大いに盛り上がっているが、いまだに猛暑が続く中、熱中症の増加が懸念される。

夏の甲子園における熱中症被害は今に始まったことではない。私がその怖さを目の当たりにしたのは2017年の第99回大会だ。開会式で日本高野連会長のあいさつの最中に、滝川西のプラカードを持つ市立西宮の女子高生が突然うつぶせに昏倒(こんとう)。観衆がざわめく中、大会関係者がすぐ女子を連れ出し、救護室へ運んでいる。

仙台育英―日本文理戦では、仙台育英の捕手が目まいや手足のしびれを訴え、9回の守備から交代。救急車で西宮市内の病院に運ばれた。仙台育英は予選でも同様のケースが発生している。

17年の全国の予選を調べてみると、千葉大会の開幕戦で観客約30人が熱中症となり、野球部員2人が救急搬送。熊本大会でも、観客34人が病院に運ばれている。

そうした事態を受け、翌18年の大会前には、大阪府教育委員会から高野連に試合開始時間、大会時期の変更なども含めた暑さ対策の検討が要請された。こうして開会式の前、選手とプラカード嬢に水のペットボトルを配布する対策が定着したのである。

しかし、この6年前の時点でも、対策が遅きに失した感は否めない。今大会から試合中に1度のクーリングタイムが設けられたが、埼玉ではもっと早く16年から、2度水分補給に充てる時間をつくっているのだ。

ナイター開催も17年に京都府高野連が実施している。最高気温39度の7月23日、鳥羽―立命館宇治の試合開始時間を夕方16時から夜19時1分に変更。延長11回、立命館宇治が6―5で勝ったのは22時37分だった。里井祥吾監督は「日中の試合だったら、(選手が)倒れていただろう」と吐露している。

近い将来、甲子園のナイター化も現実になるかもしれない。

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